会議や意思決定の場で悪魔の代弁者の役割を公式化することは、反対の立場を組織的に考慮する助けになる。一方で、悪魔の代弁者を演じる誰かを指定すること自体が、問題を引き起こすこともある。誰かが悪魔の代弁者に指名されても、その人のいうことを無視するのは簡単だ。結局のところ、彼らは「悪魔の代弁者を演じているだけ」なのだから。
だからこそ、チームの全員にこの役割を演じてもらうことがより効果的だと考えている。
私は、悪魔の代弁者を1人に任せるのではなく、グループ全員がアイデアを批判的に見ざるをえないようにするためのツールを、いくつか開発した。お気に入りは「デビルズ・トロイカ」だ。これは建設的で反復的な視点と、批判的で反対派の視点、両方を通じて迅速にアイデアを分析する。そしてそれらの分析結果を統合し、元のアイデアの長所を生かしつつも、短所を緩和した、優れたアイデアを生み出す体系的な方法だ。
このアプローチの利点は、全員に計画を批判的かつ建設的に見るように強制することだ。私はウォール街から黒海地域に至るまで、このテクニックを駆使して、大手銀行が1兆ドル(百数十兆円)規模の戦略をテストしたり、NATOが東方の脅威から復活する支援を行ってきた。
しかし、最も基本的なかたちであっても、悪魔の代弁者を演じることには価値がある。リーダーとして、あなたもこの概念を意思決定プロセスの一部に取り込むべきだ。多様な意見が評価される環境を育て、意図的に悪魔の代弁者を演じることによって、あなたのチームは、今日の目まぐるしいビジネス環境をより良く理解し、持続的な成功を達成するための最適な決定を下すことができる。
(forbes.com 原文)