だからこそ、あなたは「悪魔の代弁者」(devil’s advocate)を演じる必要がある。自分の思い込みに挑戦し、新しい選択肢を見つけ、どこに上手くいかない可能性があるのかを理解して、そうならないようにするために。
「悪魔の代弁者」という言葉は、ローマカトリック教会に起源を持ち、かつては聖人候補者の証拠について、見落とされた欠陥や誇張を指摘する役人を指す用語だった。現代の用法で「悪魔の代弁者」を演じるとは、懐疑的な問い掛けや思考をさらに探求するために、相手に必ずしも同意しない立場をとることを意味する。
悪魔の代弁者を演じることは、しばしば議論、アイデア、決定の有効性を試すために、対立または反対の立場を取ることも含む。しかし「代弁者」は必ずしも反対意見を信じているわけではない。批判的思考を促して本来の思考の欠陥を暴き、集団思考を防ぐための方法なのだ。この方法は、厳密な分析環境を培う上で極めて重要であり、代替案を浮かび上がらせて探求し、意思決定の結果をよりよく理解することに役立つ。
いかなる規模の企業でも、意思決定プロセスにこのアプローチを採用することで、利益を得られる。ビジネス環境は複雑さ、不確実性、そして継続的な変化によって特徴づけられているため、すべての視点を考慮せずに決定を下すことは危険だからだ。悪魔の代弁者は、未探索の機会と潜在的な落とし穴を明らかにし、誤った決定を下すリスクを軽減する。
具体的には、悪魔の代弁者はあなたの組織に以下のような便益をもたらす。
1.集団思考との闘い: 集団思考とは、集団内の調和を求めるあまり、非合理的な意思決定や機能不全に陥る心理現象だ。ここで、悪魔の代弁者のテクニックは、同調圧力を打ち破り、メンバーに自分たちの立場を再評価するように促す。より確かな情報に基づいた結論を導き出すために、不可欠なのだ。
2.意思決定の質を高める: 悪魔の代弁者が反対の立場を提示し、または見落とされていた欠陥を明らかにすることで、意思決定者は選択肢を再考し、戦略を練り直すように促される。それによって、より包括的で思慮深く、質の高い決定が可能になる。
3.創造性を刺激する: 悪魔の代弁者は、個人に問題と解決策を異なる視点から見ることを課し、創造的思考と革新的な問題解決を促進する。これはチームが既成概念にとらわれず、課題に対する独自の解決策を考えるきっかけとなる。
4.リスクを軽減する:悪魔の代弁者によって、企業は意思決定の前に潜在的な問題を特定し、積極的にリスクを軽減できる。見えないリスクを明らかにすることで、緊急時の対応計画を策定することも可能だ。