欧州

2023.09.30 09:00

ウクライナ東部の野を駆け回る「クズリ」歩兵戦闘車、初めて狩られる

遠藤宗生
ポーランド語で「クズリ」を意味するロソマクは今春、ポーランドからウクライナにやって来始めた。第22旅団かその姉妹旅団が今回、アンドリーウカ周辺で失ったのはウクライナ軍にとって初の損失だ。

重量25トン・8輪式のロソマクは俊敏で、500馬力のディーゼルエンジンをうならせて最高時速100kmで駆け回る。さらに米陸軍が欧州で運用するストライカー装甲車と同じ30mm機関砲も搭載しており、なかなか獰猛でもある。

ロソマクは乗員3人で、歩兵が8人乗り込める。もし欠点があるとすれば、ポーランド軍がもともと水陸両用の仕様を求めた点かもしれない。つまり、ロソマクはのそのそとではあるが、少しくらいなら水中を泳げるように軽量化されており、その分、装甲防護が犠牲になっている。

1度の攻撃でロソマクを3両失うのはウクライナ軍にとって痛手に違いない。ただ、ロソマクは今度どんどん届くことになっていて、それは多少の慰めになるかもしれない。

ポーランド政府は4月、ウクライナにロソマクを200両供与すると確約した。米国がそれぞれ200両の供与を表明しているストライカーと装軌式のM2ブラッドレーと並び、ウクライナ軍の保有する西側製歩兵戦闘車としては最も数が多くなる見通しとなっている。

ウクライナ側にとってもっと勇気づけられるのは、今回の攻撃は失敗したとしても、アンドリーウカも含めて、バフムート方面での戦争努力が全体としては成功していることかもしれない。

アンドリーウカのすぐ東には南北に鉄道路線が走り、バフムートの南のロシア軍陣地を支えている。このエリアの大半でロシア軍部隊はすでに鉄道路線まで後退しており、9月23日にはウクライナ軍部隊がアンドリーウカで国旗を掲げている

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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