動画にはカルーガの工場労働者たちが、戦車のガスタービンエンジン用のトランスミッション(変速機)をおよそ30年ぶりに新しくこしらえている様子が映っている。1500馬力の新型タービンの開発を目標としているらしい。
Kaluga Engine (KADVI). A decision was made to restart production of new tank GTEs. The first casting of the gearbox housing in the last 30 years. Also shown is the casting of other GTE parts and a lot of manual machining. pic.twitter.com/aWpGnuLKZo
— Andrei_bt (@AndreiBtvt) September 24, 2023
このタービンは明らかに、ロシアの産業界が新造する意向を示しているT-80戦車向けのものだ。
ロシアの兵器メーカー、ウラルバゴンザボートの西シベリア・オムスクにある工場は、1991年以来T-80の新たな車体を製造していない。カルーガ工場でのT-80用GTD-1250タービンの生産も、同じくソ連が崩壊してから休止状態にある。
ではロシア軍は過去約30年、どうやってT-80を補充してきたかというと、古い車体やエンジンを改修して代用品にしてきたのだった。だが、ウクライナでのロシア軍の戦車損失数が2000両を超えるなか、使い回せる車体やエンジンが枯渇してきていることは隠しようがなくなっている。ロシアが2022年2月にウクライナに全面侵攻した時点で、ロシア軍が保有していた現役の戦車の総数は3000両ほどだった。
ウラルバゴンザボートは、より新しい戦車であるT-72B3とT-90Mを生産しているものの、月間生産数は合計でわずか20〜30両にすぎない。ロシア軍の戦車損失数は月平均100台超にのぼっており、補充するにはこの生産ペースではまったく足りない。ロシア軍が2022年夏、1960年代に開発されたT-62、あるいは最も古い195年代にさかのぼるT-54、T-55といった年代物戦車を大量に保管庫から引っ張り出し始めたのはそのためだ。
とはいえ、T-62やT-54/55、あるいはもう少し新しい戦時予備であるT-72「ウラル」、T-80Bといった戦車は、あくまで急場しのぎのものになる。なかには新たな光学機器や追加装甲を装備した車両ものもあるものの、多くは旧式装備のままだからだ。今後3年、4年、5年と戦争努力を続けていくためには、ロシア軍には新しい戦車が必要になる。それも大量に。