ライフスタイル

2023.09.21 16:45

二重のアウトプットが幸せを増幅する。ダブルアウトプット

Forbes JAPAN編集部

Farm to Table(収穫→食事)

農園で育まれた農作物や果実を収穫して、その恵みをすぐに調理しテーブルに提供する飲食スタイルFarm to Table。昨今は地産地消の流れもあり、自ら育てた食材を、自ら調理して提供するというスタイルも増えてきている。農作物という1回目のアウトプットで終わるのではなく、そこにさらに調理というクリエイティブが加わる2回目のアウトプットで、つくり手の表現としても、食べる体験としてもより深い価値が生まれる。

私自身も来客があると、自宅の小さな庭でとれるハーブや果実を使って、ジュースやカクテルをつくっており、ある種Farm to Table的なことを身の丈でやっている。ある友人はお子さんと一緒にジュースを搾った思い出をいつも大切に語ってくれて、ダブルアウトプットの恩恵を身近に感じている(ジュースはとんでもなく酸っぱかったが)。
Farm to table:収穫した野菜を、 すぐに調理していただくからこそ、美味しさも、分かち合う喜びも増幅される。

Farm to table:収穫した野菜を、すぐに調理していただくからこそ、美味しさも、分かち合う喜びも増幅される。

ピア・ラーニング(学ぶ→教え合う)

教育においてもダブルアウトプットの効能はすでに注目されている。自身が学んだ内容を自分だけで終わりにするのではなく、学んだ当事者が他者に教えることを通じて対話をしていく学習手法「ピア・ラーニング」だ。まずは、自分自身で学んだ内容をレポートやテストというかたちで最初のアウトプットを行うが、その内容を他者に教えるという2回目のアウトプットを行うことで、新しい化学反応が生まれることもあるし、自分もしっかりとそしゃくしたうえで人に伝えるため記憶の定着も深くなる。義務教育でも重要だが、社会人になってからの学びにおいても、とても有意義な手法である。
ピア・ラーニング:人は何かを 人に教えようとするときにこそ、 自分が学んだことが深く定着する。

ピア・ラーニング:人は何かを人に教えようとするときにこそ、自分が学んだことが深く定着する。


ダブルアウトプットのチャンスは至る所に転がっている。子どもが絵を描いたら、親がその絵をもとに作品集をダブルアウトプット。新しくオフィスや店舗をつくったら、交流を生むシンボルイベントをダブルアウトプット。デザイナーがパターンデザインを制作したら、メーカーとプロダクトをダブルアウトプット。

「アウトプットを出さないと」とはよくいわれるが、「ダブルアウトプットでどんな広がりがあるか?」まで見通して議論することで、可能性を見いだすことができるだろう。「もっといいアウトプットを生み出したい」。そんな悩みを抱えている方がいたら、まずは身の回りのアウトプットを棚卸しして、ダブルアウトプット発想でとらえ直してみてはどうだろうか。


電通Bチーム◎2014年に秘密裏に始まった知る人ぞ知るクリエーティブチーム。社内外の特任リサーチャー50人が自分のB面を活用し、1人1ジャンルを常にリサーチ。社会を変える各種プロジェクトのみを支援している。平均年齢36歳。合言葉は「好奇心ファースト」。

小柴尊昭◎電通Bチーム写真担当。クリエイティブプランナー/フォトグラファー。非言語クリエイティブと人間性起点のプランニングで企業・自治体の変革を支援。写真のチカラで社会に貢献するフォトリューションを提唱。

文=小柴尊昭 イラストレーション=尾黒ケンジ

この記事は 「Forbes JAPAN 2023年9月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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