マイクロソフト、2020年に任天堂買収を議論 社内資料が流出

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米連邦取引委員会(FTC)と米マイクロソフトの間で進行中の訴訟に関連した社内資料が流出し、同社が2020年に任天堂などの競合他社の買収案を議論していたことが明らかになった。資料にはさらに、ゲーム機「Xbox」の新モデルについての計画も掲載されている。

一連の資料は、機密情報が黒塗りされていない状態でカリフォルニア州裁判所のウェブサイトで公開されたが、現在は削除されているもようだ。任天堂はマイクロソフトにとって、家庭用ゲーム機分野でソニーと並ぶ主要競合企業。マイクロソフトはさらに、PCゲーム大手のValve(バルブ)やワーナー・ブラザーズのゲーム部門の買収についても議論していた。

任天堂買収案は2020年8月、現最高マーケティング責任者のクリス・カポセラ、コマーシャル(法人)部門最高マーケティング責任者の沼本健、Xbox部門責任者のフィル・スペンサーが交わした社内メールで議論された。

スペンサーはその中で「任天堂は、われわれにとってゲーム分野における最良の資産となるものであり、ゲーム分野は現在、当社が消費者にとって重要な存在となる上で最も有望な道だ」と指摘。マイクロソフトは米企業の中で任天堂買収に最適な立場にあるものの、「残念な(あるいは任天堂にとっては幸いな)ことに、任天堂は大量の現金を保有している」としている。

スペンサーはさらに、「任天堂の取得はキャリアの(中で最高の)瞬間となるもので、両社にとって良い動きとなると真に信じている。ただ任天堂は、自社の未来が自社製ハードからの脱却にあることを、なかなか理解できずにいる」と記している。

スペンサーは任天堂のハードウエア事業の将来性に疑問を呈しているものの、同社の「Nintendo Switch」はこれまでに1億2900万台以上を売り上げており、ソニーの「PlayStation 2」、「ニンテンドーDS」に次いで歴代3番目に成功したゲーム機となっている。これに対し、マイクロソフトのXboxの販売台数は、前世代の「Xbox One」が約5800万台、現世代の「Xbox Series S・X」は計2100万台余りだ。

流出資料からはまた、マイクロソフトが「Xbox Series S・X」の新モデルを準備中で、Xbox用コントローラーのデザインも一新する予定であることが明らかになった。

上位機種である「Xbox Series X」の新モデルは「Brooklin」のコードネームで呼ばれ、2024年に発売される予定。価格は499ドルで、ストレージ容量を1TBから2TBに増やす一方で、現モデルに搭載されているディスクドライブを排除したものになる。

新型コントローラーは「Sebile」のコードネームで呼ばれ、PSやSwitchのコントローラーが採用しているモーションコントロールやハプティック(触覚)フィードバックといった、かねて要望の多かった機能が搭載される予定だ。

forbes.com 原文

翻訳・編集=遠藤宗生

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