その後もハプニングは続く。ようやくメインの年代物の赤ワインをデキャンタしようとしたその瞬間、常連らしき女性二人客が来店。「何か泡を飲みたい」とリクエストするのだ。ここで、デキャンタをお待たせすることになる先客へ一言お声がけができるか、など細かい気遣いができるかどうか。程度の差はあれ、このような突発的なハプニングは現場でも当然起こりうる。普段から慣れていなければ、壇上でベストのパフォーマンスを発揮することは恐らく難しいだろう。
水とお茶のブラインドテイスティング?!
ソムリエ教本が毎年分厚くなるように、いまは中国やイギリスなどに産地も広がり、カバーすべき知識量はますます増えている。そして最初の課題でもカクテル「オールドファッション」のサービスが出された通り、ソムリエはワインに詳しければいいわけではない。一通りのカクテルのレシピから、ビール、日本酒、蒸留酒やリキュール、ノンアルコール飲料まで、広範な“飲み物全般”の知識を身に着けておく必要がある。
準決勝では、水や茶葉のブラインドテイスティングが出たのも印象的だった。お茶の課題は、まず小瓶に入った五つの茶葉の名前を答え、そのうち3つに合わせたコース料理を提案するというもの。昨今のノンアル飲料への注目度の高まりからレストランでもティーペアリング・ノンアルコールペアリングを提供するお店が増えており、サービスのプロはノンアルコール飲料も手厚くカバーしておく必要があるのだ。水の課題は、「5つのグラスの水のブランド名を応え、それを硬度で硬水から軟水の順に並べよ」という難題。さすがに苦戦している選手が多かった中、水の硬度をそれぞれ数値で応えた野坂選手のパフォーマンスが目立っていた。