爆発的な下痢の原因には、さまざまなものが考えられる。サルモネラ菌や大腸菌などの細菌、ロタウイルスやノロウイルスなどのウイルス、ジアルジア(ランブル鞭毛虫)やクリプトスポリジウムなどの寄生虫の他、クローン病、潰瘍性大腸炎、セリアック病などの腸疾患も原因となり得る。さらに、特定の抗生物質、胸やけや逆流性食道炎の薬、化学療法剤などの薬物、アレルギー、食物不耐性も原因となる可能性がある。
一般的な指針として、下痢が起きた場合は、その原因を思い込みで決めつけずに、適切な診療や検査をすること。激しい下痢に見舞われている乗客は、その原因が何であれ伝染する可能性があるため、他の乗客からできるだけ遠ざけること。その乗客や、乗客が触れたものを扱うときは手袋を使用し、手洗いを念入りかつ頻繁に行うこと。感染拡大の恐れがあったことも、飛行機がUターンした理由の1つだった。最近の旅客便は満員が常となっており、長時間のフライトでこの乗客を他の乗客から隔離しておくことは難しかったかもしれない。
また、爆発的な下痢は、重度の脱水と電解質の減少につながる可能性がある。さらに、下痢の原因となっている問題が、さらなる合併症を引き起こす可能性もある。そのため、機内では受けられないような医療措置が必要になるかもしれない。
下痢に含まれる病原体の中には、ノロウイルスのように除去や殺菌・消毒が非常に困難なものもある。清掃員が時間をかけて機内を徹底的に消毒したのもそのためだ。このフライトは約8時間の遅延後に再び出発し、2日午後5時16分にバルセロナに到着した。これほどの遅延は、おそらく乗客にかなりの不便をもたらしただろうが、無数の細菌の「乗客」とフライトをともにすることに比べればましだろう。
(forbes.com 原文)