コロナ死者増加の米国、次期ワクチンを8日にも承認へ

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米国では最近、新型コロナウイルスの変異株オミクロン株の亜系統である「XBB系統」への感染が広がり、死者や入院の増加につながっている。NBCテレビによると、米食品医薬品局(FDA)は早くて8日にもXBB系統に対応した新たなブースター接種(追加接種)用ワクチンを承認する見通しだ。

NBCは6日、複数の匿名情報筋の話として、8日の承認は確定しておらず、来週にずれ込む可能性もあると報じている。

FDAはこれに先立ち、モデルナとファイザー、ノババックスの製薬3社に対し、米国で現在主流となっているXBB系統に対応した新たな1価ワクチンを開発するよう勧告していた。

米疾病対策センター(CDC)は来週、諮問委員会の会合を開き、新ワクチンに関する投票を行い、どのような人が接種を受けるべきかを勧告する見通しだ。

次期ワクチンは、米国では初めて接種が無料化されないコロナワクチンとなる。ファイザーとモデルナの両社は、新ワクチンの接種費用を1回110~130ドル(約1万6000~1万9000円)と見積もっている。ただし、保険会社の多くが接種費用を負担する見込みで、無保険者に対してはCDCが費用を負担するプログラムを今秋開始する。

コロナ関連の死者と入院は初夏から増加しており、秋から冬にかけても増加すると予想されている。CDCの最新データによると、死者は7月8日~8月26日に約18%増加し、入院は7月28日から8月26日の間に約16%増加した。

米国で現在主流となっているのは、XBB系統の1つである「EG.5」(通称エリス)で、8月20日~9月2日の全症例の約22%を占めていた。FDAによると、XBB系統は6月の時点で米国内の感染の95%を占めていた。

CDCが1月に発表した研究結果によると、既存の2価ブースターワクチンは、一般的な成人ではXBB系統に対して約50%の予防効果、65歳以上では約33%の予防効果がある。モデルナは、同社の新ブースターがエリスにも効果がある可能性があると発表。ノババックスも、同社のワクチンが小動物でエリスに対する広範な免疫反応をもたらしたとしている。

専門家の中には、現在の2価ブースターはXBBに標的を絞ったものではないため、新しい1価ブースターが利用可能になるまで追加接種を待つよう勧める人もいる。米国では、ブースター接種を少なくとも1回受けた人の割合が17%にとどまっている。

米国ではまた、BA系統の一種である新変異株「BA.2.86」(通称ピロラ)が広まり始めている。今のところ、CDCの変異株トラッカーに現れるほどの症例数はないが、世界保健機関(WHO)はピロラを監視中の変異株のリストに加えた。ピロラの変異の数は、米国で今年初めに主流となったXBB.1.5よりも36多く、BA.2よりも34多い。

ピロラはXBB系統ではないため、新ブースターが効かない可能性も懸念されるが、モデルナは6日、新ブースターは臨床試験(治験)でピロラに対する中和抗体を8.7倍増加させることが確認されたと発表した。

forbes.com 原文

翻訳・編集=遠藤宗生

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