中国発の衣料品ネット通販SHEIN(シーイン)や、アイルランドのPrimark(プライマーク)、フランスのLacoste(ラコステ)など100以上の主要ブランドを顧客とする同社のサービスの需要は、強制労働に関する消費者や規制当局からの圧力が高まる中、2020年以降に5倍以上に伸びたという。
今年7月にシャネルを含む投資家から5700万ドル(約84億円)を調達したオリテイン社のグラント・コクランCEOは「当社は、サプライチェーンの中で誰が好ましい取引先で、誰がそうでないかを特定するための手助けをしています」と語る。
同社を含むトレーサビリティー(生産・流通履歴の追跡)のテクノロジー企業は、企業のサプライチェーの可視化に役立つサービスを提供している。
世界の綿花の5分の1を生産する中国の新疆ウイグル自治区の人権問題は、2017年に人権擁護団体らがウイグル人が拘束され、強制労働をさせられているという証言を発表し始めたことで初めて明るみに出た。米国では昨年、この地域からの製品輸入を禁止する法律が施行され、税関は輸入禁止措置に抵触すると疑われる貨物を留置することができるようになった。
アメリカンアパレル&フットウェア協会(AAFA)の政策担当上級副会長であるネイト・ハーマンは「このような課題への対処は、すべての企業の最優先事項となっている」と述べている。
競争激化の「トレーサビリティ」分野
オーストラリアの戦略政策研究所は、2019年の時点でナイキ、ギャップ、H&Mを含む少なくとも82の大手企業が新疆ウイグル自治区とつながりがある可能性があることを明らかにした。その2年後、オリテインが米国のさまざまな店舗のブランドから1000着のコットン衣類を無作為に集めたところ、16%がこの地域の原材料を使用していることが判明した。米国政府は最終的に、原材料の原産地から始まり、すべての工程を記録した書類を提出することを求めている。AAFAのハーマンは「政府は、非常に詳細な書類を求めている」と言い、ほとんどの企業は、請求書や発注書、船荷証券を含む数百ページの書類の英訳を提出することになると付け加えた。