UNIQLOがアメリカを「征服」する日

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ファーストリテイリングが手がけるカジュアル衣料品チェーン「ユニクロ」は、北米の店舗数を10%増やす方針だとロイター通信が報じている。ユニクロは2027年までに北米の店舗数を200店に増やすことを計画しており、年20〜30店のペースで新規出店したい考えだという。

記事によるとユニクロは今夏、すでに進出しているカリフォルニア、メリーランド、ニュージャージーの米3州で計4店舗、カナダでは未進出の州で2店舗出店する予定とされる。ファーストリテイリングのウェブサイトによれば、ユニクロの米国内の店舗数は2023年4月30日時点で49店、カナダは16店となっている。

ユニクロの北米での拡大計画は最近、小売業界のオンラインフォーラム「RetailWire」でも議論のテーマになった。そこでは専門家たちから、米国のアパレル市場は手強い競争相手を迎えようとしているとの見方が示された。

「『長持ちするファストファッション』というのは矛盾した表現になりますが、ユニクロはそれを上手に実現しています」というのは、コンサルティング会社ケンブリッジ・リテール・アドバイザーズのマネジングディレクター、ケン・モリスだ。

洗練された物流管理

「ユニクロの収益にとっては、値引きをなくすこと以上に、物流管理をきっちりやることのほうが重要だったのではないでしょうか。ユニクロはRFID(無線自動識別)テクノロジーのリーダーであり、このモデルを全面的に採用しています。在庫を最後の一品まで把握しています。レジの精算はすばやく終わり、セキュリティも確保され、在庫精度も高い。店頭で商品を見つけることができ、値引き(マークダウン)も容易で、(注文した商品の)受け取りも迅速で正確。そして低価格。顧客や取引先にとって、これ以上望むものがあるでしょうか? ユニクロが拡大に成功するには、商品、ブランド、テクノロジーという強みにこだわっていくだけでよいでしょう」(モリス)

調査会社グローバルデータのマネジングパートナー、ニール・ソンダースも「ユニクロは優れた小売企業」とたたえる。「商品は質が高く、プライスポイント(売れ筋商品の価格)もすばらしい。アパレルの定番と、もう少し流行に振ったアイテムを組み合わせた商品構成になっているから、大方の商品でかなり幅広い客層に訴求しています」と説明する。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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