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2023.05.27 08:30

ファッションモデルの仕事を奪う「AIモデル」の倫理的課題

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カリフォルニア州で小規模なファッションECサイトの「The Porter Collective」を運営する、トレイシー・ポーター(55)は、かつて商品の撮影のために外部のカメラマンやモデルを起用したこともあるが、そのコストの高さが悩みの種だった。

彼女は現在、イスラエルのスタートアップBotikaが開発した生成AI(人工知能)を活用したファッションモデルのサービスを検討中だ。

Botikaは、AIで生成したファッションモデルを月額15ドルで提供するサービスで、Shopifyでのサービス開始に向けたウェイティングリストでは、すでに1000人以上の顧客が待機中という。「当社のプラットフォームを利用する起業家は、これまで自分で服を着て写真を撮影した後に、顔を切り抜いていた人たちだ」と同社のCEOのEran Daganは説明した。

Botikaは、ファッション系フリマアプリのPoshmarkやDepopの売り手からも興味を持たれているという。

この分野のもう1つの企業のLalalandも、ここ最近、中小のビジネスからの需要で業績を伸ばしたと述べている。同社の共同創業者でCEOのマイケル・マサンドゥは、この8カ月で事業が大幅に回復し、売上が8倍から9倍に伸びたと述べた。

Lalalandのサービスを利用する、ECサイト「Blissfully Brand」のオーナーのジェイコブ・フローレス(50)は、月額300ドルを支払い50枚の画像を入手している。彼は、同社のライブラリからモデルを選び、自身がデザインした服を着せてサイトにアップしている。

フローレンスは以前、年に4回の撮影を行い、数人のモデルに900ドルを支払い、2時間で可能な限り多くの写真を撮っていたという。しかし、今はビーチや街で行う撮影を年に1、2回に減らしている。また、AIはソーシャルメディアに掲載する広告の制作にも役立ち、特定のターゲットに合わせた画像を提供できると彼は話した。

AIの使用を開示すべきか?

一方、買い物客たちは、サイトに掲載された服のモデルが人間なのか、AIが生成したイメージなのかを見分けることが難しい。この問題は、一部で認識されてはいるが、開示に関する明確なルールは存在しない。TikTokは、クリエイターが生成AIを使う場合に、それを開示するためのツールを開発中だと報じられている。

カリフォルニア大学サンディエゴ校でAIの倫理的問題を研究するデビッド・ダンクス教授は「AIが生成した実存する人物に見える写真を掲載する場合、それがコンピュータで生成されたものであることを開示すべきだ」と述べている。

カリフォルニア州の起業家のポーターも、この疑問と格闘していると話す。「私たちはAIのモデルを使う場合に、顧客にそれを知らせるべきなのだろうか?」と彼女はいう。彼女の友人たちはAIを恐れているようで、AIがモデルたちを失業させると彼女に話したという。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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