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2023.09.12

「全社員」で進めなければ成功しない、DXを真に自社のものにする方法

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DXを着実に奨める企業がある一方、DXを経営課題に掲げ、DX人材を採用したものの、笛吹けども踊らず、いくつかPoCと称して小規模な実証実験が行われるが、周囲のプロパー人材の理解や協力をなかなか得ることができず、実証実験から事業化には至らずという事例も数多くある。

実際に、意気込んでDX人材を採用したとしても、その6割は早期転職を考えているような状況であることが弊社で行った調査からも明らかになっている。

調査の過程でインタビューした製造業の企業では「自社のDX推進を任せられる人材か、疑問・不安がある」そして「従来のやり方を全否定しており不信感がある」という回答があった。これはDXの実現以前の状況だ。

一方、現場からデジタルによる業務変革を成し遂げた事例としてヨネックス、KDDIの2社の取り組みを紹介してきたが、両社ともにデジタル技術を変革の鍵と位置づけ、現場のスタッフが自ら率先してデジタル化を推進している。先ほどの例と、こうした企業との違いはどこにあるのだろうか?

専門家スキルと活用者スキル

現場のデジタルスキルの向上には、まずどのようなスキルが必要なのかという課題の定義を考えてみたい。デジタル人材のスキルの定義として以下の3つを提唱したい。

1. 基礎スキル
PCやオフィスツールや電子メール、チャットなどのコミュニケーション系アプリケーション、情報セキュリティやコンプライアンスに関する基礎的な知識を持つこと

2. 活用者スキル
業務領域における専門ツール(CRM、ERP、マーケティングなど)の使用方法に関する知識、ノーコードツールやRPAなどを用いて自らの業務を自動化するための知識を持つこと

3. 専門家スキル
プログラミング、データ分析、AIモデル開発など高度なITプロフェッショナルとして必要な知識を持つこと

基礎、活用者、専門家スキルの関係と組織内での必要量

ヨネックス、KDDIの2社の取り組みは、いきなり専門家スキルを目指すのではなく、活用者スキルを全従業員に浸透させることを目指しているということだ。DXがうまく行っている企業とそうでない企業の差はここにあるのではないか。
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編集=安井克至

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