旧来のITベンダーに依存していては何も始まらない
データやソフトウェアは質量を持たない。いまやクラウドによってコンピューティングリソースは必要なときに必要なだけ調達できる。ノーコードプラットフォームによって精緻な設計と検証をせずとも、まずプロトタイプを作成して試してみることができる。ほとんどのシステムは大きな投資を必要とせず、チャレンジのコストは低い。やってみてうまくいかないところを学びながら随時成長し続けるという考え方にアップデートする必要がある。全社員をデジタル人材化するということは、全社員がこの考え方を身につけるということなのだ。ドリーム・アーツの調査によると、いまだに「お任せできて仕事が楽だ」という理由で旧来のITベンダーに依存している企業が6割を超えていることが明らかになっている。これではデジタルによって変革を起こすことができるわけがない。
こうした調査結果からも、DXとはDX人材がDX推進部署において孤立無援で進めるものではなく、全社員がデジタルによる変革の力を理解して全社的に進めなければ成功しえないということがわかる。
第1回の記事で紹介した「現場部門が忙しい業務の中でデジタル化を進めていくために、情報システム部門はユーザー管理などプラットフォーム全体の管理統制と現場部門のサポートを実施し、定期的な講習会や相談会の開催、活用事例の共有といった事務局的な役割に注力している」というヨネックスの政埜氏の言葉は全社員のデジタル人材化をどのように成し遂げるのか大きなヒントとなる。
あらゆる現場で「デジタルの民主化」のフィロソフィーが広がっていくことで、真の変革がもたらされるはずだ。
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