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2023.09.12 14:30

「全社員」で進めなければ成功しない、DXを真に自社のものにする方法

従来、デジタル技術はITの専門家のものであり、何が必要で何が可能なのか、どうしたらそれが実現できるのかは、IT部門やITベンダーに相談するほかなかった。このことが、国内IT産業の課題である多重下請け構造や、受発注の都合で要件を定義しそれを予定どおりに実現するウォーターフォール型の開発プロセスに縛られることにつながっている。専門家の頭数と時間が価値であった時代はこれが当然だったが「デジタルの民主化」が進めば、この旧態依然とした産業構造を破壊する可能性も秘めている。

旧来のITベンダーに依存していては何も始まらない

データやソフトウェアは質量を持たない。いまやクラウドによってコンピューティングリソースは必要なときに必要なだけ調達できる。ノーコードプラットフォームによって精緻な設計と検証をせずとも、まずプロトタイプを作成して試してみることができる。ほとんどのシステムは大きな投資を必要とせず、チャレンジのコストは低い。やってみてうまくいかないところを学びながら随時成長し続けるという考え方にアップデートする必要がある。全社員をデジタル人材化するということは、全社員がこの考え方を身につけるということなのだ。

ドリーム・アーツの調査によると、いまだに「お任せできて仕事が楽だ」という理由で旧来のITベンダーに依存している企業が6割を超えていることが明らかになっている。これではデジタルによって変革を起こすことができるわけがない。

こうした調査結果からも、DXとはDX人材がDX推進部署において孤立無援で進めるものではなく、全社員がデジタルによる変革の力を理解して全社的に進めなければ成功しえないということがわかる。

第1回の記事で紹介した「現場部門が忙しい業務の中でデジタル化を進めていくために、情報システム部門はユーザー管理などプラットフォーム全体の管理統制と現場部門のサポートを実施し、定期的な講習会や相談会の開催、活用事例の共有といった事務局的な役割に注力している」というヨネックスの政埜氏の言葉は全社員のデジタル人材化をどのように成し遂げるのか大きなヒントとなる。

あらゆる現場で「デジタルの民主化」のフィロソフィーが広がっていくことで、真の変革がもたらされるはずだ。

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編集=安井克至

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