小鳥の登場とともに、懐かしさを感じるフォントが自由自在に形を変える。その動画(下部video参照)はじわじわと拡散され、SNSなどで見た人も多いのではないか。
アドビは2月13日、バリアブル・フォント「百千鳥」のリリースを開始した。バリアブルとは、可変、つまり大きさや縦横比、線の太さなどを自然かつ美しく自由に変えることができる可変型の文字のことで、欧文フォントではすでにいくつか存在するものの、日本語の縦横比と太さの2軸のバリアブルフォントとしてはこの百千鳥が初となる。
製作したのは、アドビのタイプデザイナー西塚涼子。フォント「界隈」でその名を知らない人はいないというほどの卓越したデザイナーだ。
映像作家の中村優吾率いるTHA LTD.が手がけた動画。百千鳥の可変する様子が分かりやすい。
今回、西塚に百千鳥誕生の話を聞く機会を得た。今の時代、フォントはクリエイティブ職の人たちのものだけではない。企画書など、ビジネスパーソンが積極的にフォントを選択することは一般的だ。私たちはどのようにフォントを扱うべきか、
西塚の答えは、目先のコツなどではなく、企業や私たちビジネスパーソンにとってのフォントの重要性だった。
メトロの表示はかつては微扁平の『4550』だった
『百千鳥』の原点は、昭和の時代に見られた「描き文字文化」への着目がある。戦後の紙資源が限られていた時代、当時のデザイナーたちは、ロゴや広告の文字を手書きで変形させることで、限られたスペースを最大限に活用していた。それは主に、縦や横に少し短い「平体」や「長体」という形だ。