どのようにしてダイソン球を探すのか?
可視光では暗く、赤外線では明るく見えると考えられ、これが最初の証拠になると、ザクリソンは説明する。問題は、同じような挙動を示す自然の天体が存在することだと、ザクリソンは続ける。最も多いのが若い恒星に分類される天体で、塵(ちり、固体微粒子)に包まれた状態のため、赤外線では輝くが、恒星の可視光の一部を遮るからだ。異星人は非常に進歩しているため、何も無駄にはしないと主張する人々もいる。だが、熱力学法則の理解のとおり、ある形態のエネルギーを別の形態に変換すると、最終的には必ず廃棄物が発生してしまう。ダイソン球は、この廃エネルギーを何らかのかたちで取り除く必要があるという。これを実現するための最も自然な形は、黒体放射(赤外線の熱放射)だと、ザクリソンは指摘する。
ダイソン球の検出を証明することの最も難しい側面は何だろうか。
これはダイソン球につきものの問題だ。なぜなら天文学的データの外れ値を探すことになるからだと、ザクリソンは説明する。単にこれまで確認されたこともないような極端な天体物理学的現象ではなく、ダイソン球なのだと自分自身が確信することが非常に難しいと、ザクリソンはいう。
ダイソン球は、赤外域では完全な連続スペクトルとして放射を発する。つまり、スペクトルにピークが1つもないと考えられる。
米航空宇宙局(NASA)のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を利用できれば、赤外域のスペクトルを観測して、ピークがあるかどうかを確認できるかもしれないとザクリソンは話す。ピークがあれば、塵として退けるだけでよいという。
結果がどうであれ、天文学にとって有益な探査を計画する
現在、検出している対象がダイソン球やデータベースの異常値ではないとしても、少なくとも極端な天体物理学的現象を検出していることになるので、天文学は恩恵を受けると、ザクリソンは指摘する。既存のデータベースを用いるこの研究は、費用も安価で実行しやすいが、非常に多くの時間を要するとザクリソンは続ける。不要なサンプルを取り除く作業の大半を基本的に人工知能(AI)に実行させることで、研究者が自ら非常に多くの候補を調べなくても済む。この処理には時間がかかる可能性があるが、一度に全部やる必要はないとザクリソンは話した。
(forbes.com 原文)