キャリア・教育

2023.09.07 10:00

ドイツと有松 海外インターンを通じて地域の企業が学ぶこと

鈴木 奈央
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ドイツに来るインターン生から見る新しい価値観

僕らの会社は、ドイツではデザインとブランディングと国際流通を、日本では絞りの製造と国内流通という仕事にわかれています。時にはブランディングやインターナショナルビジネスを学びたいという理由でドイツに来るインターン生もいます。彼らと雑談をしていると、多くの発見があります。

2年ほど前、16歳のインターン生と昼食を一緒にしていたときのことです。「どういうブランドが好き?」という質問を投げかけたところ、彼女にはそもそも「ブランド」という定義や区切りがあまり重要ではないという答えをもらい驚きを得ました。

ロゴの大きなブランドや作り込まれたショーにも興味がなく、ハイブランドはもちろん、誰もが知っているようなストリートブランドも共感が持てず買いたいとは思わないということ、そして将来どんな仕事につきたいかという質問の最初の答えは「社会性のある仕事」という答えが返ってきました。

社会環境についてのディベートの授業があるという高校生活について、また、どんなSNSを使って社会とリンクをしているかなども教えてくれました。彼女は今ベルリンでファッションのデザインを勉強していますが、この世代が今後社会に出た時を想像し新しい価値観が生まれることに明るい未来を感じます。

また最近も、フランスの大学でインターナショナルトレードを勉強している19歳を受け入れ、休憩時間に「どんな日本のブランドを知っている?」と聞いてみると、いくつかの車のメーカーを挙げましたが、ファッションブランドはひとつも出てきませんでした。

ただ足元を見るとハートのロゴが入った日本のブランドのスニーカーを履いているので「これは知ってるよね?」と尋ねたところ、「これって日本のブランドなの?」と、初耳だったようで、同じブランドを着用している友人も「おそらく日本のブランドだということを知らないと思う」ということでした。

日本のファッションブランドを代表するような大御所も、フランスの若い世代には意識されていないという現実。その後彼女は日本のファッションブランドについて調べ、日本のブランドのフランスにおける優位性とマーケットの可能性というスタディを的確にまとめてくれました。
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文・写真=村瀬弘行

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