ラビスタフェレスのチームは、より少ないデータでもトレーニングが容易な新たなAIツールを開発した。これによって、あらゆる災害を対象とした1つのモデルではなく、個々の災害に合わせた新たなモデルを用意できるようになった。
マウイ島の火災前後の画像がマイクロソフトのコンピュータに届くと、同社のチームは建物が火災前の画像にはあるが火災後の画像ではなくなっている200あまりのインスタンス(編集注:機械学習で画像をいくつかのオブジェクトに分割する際に、隣接したものが区別された個体。実例)に、急いで手作業でラベルを付け始めた。
これによってAIシステムは、各画像のすべての画素(ピクセル)を比較し、各画素が表す3メートル四方が火災前後で変化しているかどうかを調べられるようになった。たとえば、森林の画像の画素が数時間のうちに緑色から灰色に変わっていた場合、この3メートル四方は焼失した可能性が非常に高いということになる。
この新システムによってマイクロソフトは、届いたばかりの生データを使って、ものの数時間で新しいAIモデルをトレーニングできた。そしてこのAIモデルは、最も大きな被害を受けた地域の1つであるラハイナの特定エリアにある全2810棟の建造物のうち、少なくとも1722棟が被害を受けたと推定した。このツールは被害の程度も数値化し、1205棟は80〜100%損壊したと見積もった。
これらの解析結果はまず赤十字と共有された。ほどなくして、プラネット社とマイクロソフトは、連絡のあったすべての人道支援団体に情報を提供することを決めた。