だが、いまマウイ島やハワイへ旅行に行くべきなのか。はたまた、旅行がハワイ経済復興の貢献につながるのだろうか?
火災中にバカンスを楽しむセレブに非難が殺到
8月8日に発生した今回の山火事。ハワイ州観光局では8月9日に、マウイ島への旅行を計画している人々に、不要不急の渡航は避けるよう強く要請し、オアフ島に避難者のための受け入れ施設を設け、マウイ島に滞在していた観光客にはそちらへ移動するよう呼びかけた。だが、これに背いてマウイ島での滞在を続け、新たに訪問する一部の観光客もいた。例えば、実業家でお騒がせセレブとして知られるパリス・ヒルトン。彼女はマウイ島のワイレアリゾートに滞在し、8月12日に、家族と仲睦まじく過ごす様子が目撃されている。彼女が滞在していたのは、壊滅的な被害を受けたラハイナからわずか30マイル(約48km)の場所。おまけに、8月10日にハワイ州のグリーン知事が非常事態宣言を発出した後のことだ。
そんな観光客の姿は、悲観にくれる現地住民をさらに悲しみの奥底へ落としている。火から逃れるために海に入った人が命を落とすケースもあり、実際に犠牲者の遺体が海から引き上げられているという。
それなのに、同じ海でシュノーケリングやサーフィンをして楽しみ、何事もなかったかのように過ごす人がいる。現地住民は「今のハワイは2つある。ひとつは私たちが暮らすハワイ、もうひとつは彼らが訪れているハワイだ」と表現している。
ハワイ出身の俳優のジェイソン・モモアは8月11日、自身のインスタグラムに「マウイに旅行に行かないで」と投稿。「マウイは、いまバケーションに行く場所ではない」と呼びかけている。
現在のマウイの被害状況は?
では、改めて現在のマウイ島の被害や被害者の状況などについて紹介したい。現地時間の8月16日時点で、およそ80%ほどは鎮火していると発表されているものの、いまだに火は燃え続けている。また捜索活動については、ラハイナのおよそ4割ほどが終わったにすぎない。焼け落ちた住宅や建物のがれきをかきわけ、黒焦げになった車のなかなど、遺体捜索犬とともに捜索を続けているが、身元の特定にも時間がかかっている。
現地当局は、8月16日に解剖が行われた35名のうち、指紋やDNAで身元が特定された人は7名だったと発表している。つまり、遺体が見つかったものの、身元がわからない方が多いということだ。