過去105年で最悪の被害に
死者数は1918年に453人が死亡したミネソタ州の「クローケー・ムースレーク・ファイア」以来、米国史上最多に膨らんでいる。過去105年間ではこれまで、2018年にカリフォルニア州で発生した「キャンプ・ファイア」の85人が最多だった。グリーンによると、今回の山火事による被害額は60億ドル(約8700億円)と推定されている。被害額はキャンプ・ファイアでは165億ドル(現在の為替レートで約2兆4000億円)に達している。
現地では、焼け落ちたがれきの中で引き続き捜索活動が行われている。マウイ郡の警察トップ、ジョン・ペレティアによると、警察は14日までに被災エリアの約25%を捜索した。先週末時点の3%から広がっている。捜索員数十人や遺体捜索犬20頭が動員されている。
グリーンは14日、行方不明者数は以前の2000人超から1300人ほどに減ったと米CBSテレビに語った。電話サービスが徐々に復旧するなか、連絡がついた人がいたとみられる。
ただ、グリーンによると、捜索が進むなか犠牲者は今後も「1日に10〜20人」見つかると予想されている。グリーンは最終的な死者数が確定するには10日ほどかかりそうだとし、「多くの悲劇に身構えている」と述べている。
強風にあおられ秒速27メートルで延焼
グリーンによると、マウイ島西部の低木地帯での火災が先週まず報告され、秒速27メートルという猛烈な速さでラハイナに燃え広がった。ハリケーン「ドーラ」にともなう強風で火があおられ、またこの風によってヘリコプターが出動できなくなったり道路に被害が出たりしたため、消火活動は難航した。グリーンは「ラハイナでは何もかも焼け落ちた」と語っている。グリーンは13日、米ケーブルテレビ局MSNBCの番組で、今回の山火事を「火のハリケーン」と表現。強風や非常に乾燥した状態など、地球温暖化によるマウイ島への「非常に現実的な」影響が被害に拍車をかけたとの認識を示した。