ハワイ山火事、死者99人・不明1300人 富豪ら相次ぎ支援表明

米ハワイ州マウイ島のクラで、山火事によって破壊された家屋のがれきを片づける女性(2023年8月11日撮影、Justin Sullivan/Getty Images)

米ハワイ州マウイ島の山火事による死者は14日までに99人に増えた。ジョシュ・グリーン州知事は依然として約1300人が行方不明だと述べ、犠牲者はさらに増えるとの見通しを示している。歴史的な町ラハイナが壊滅するなど甚大な物的被害も明らかになるなか、マウイ島にゆかりのある富豪らが相次いで支援を表明している。

過去105年で最悪の被害に

死者数は1918年に453人が死亡したミネソタ州の「クローケー・ムースレーク・ファイア」以来、米国史上最多に膨らんでいる。過去105年間ではこれまで、2018年にカリフォルニア州で発生した「キャンプ・ファイア」の85人が最多だった。

グリーンによると、今回の山火事による被害額は60億ドル(約8700億円)と推定されている。被害額はキャンプ・ファイアでは165億ドル(現在の為替レートで約2兆4000億円)に達している。

現地では、焼け落ちたがれきの中で引き続き捜索活動が行われている。マウイ郡の警察トップ、ジョン・ペレティアによると、警察は14日までに被災エリアの約25%を捜索した。先週末時点の3%から広がっている。捜索員数十人や遺体捜索犬20頭が動員されている。

グリーンは14日、行方不明者数は以前の2000人超から1300人ほどに減ったと米CBSテレビに語った。電話サービスが徐々に復旧するなか、連絡がついた人がいたとみられる。

ただ、グリーンによると、捜索が進むなか犠牲者は今後も「1日に10〜20人」見つかると予想されている。グリーンは最終的な死者数が確定するには10日ほどかかりそうだとし、「多くの悲劇に身構えている」と述べている。

強風にあおられ秒速27メートルで延焼

グリーンによると、マウイ島西部の低木地帯での火災が先週まず報告され、秒速27メートルという猛烈な速さでラハイナに燃え広がった。ハリケーン「ドーラ」にともなう強風で火があおられ、またこの風によってヘリコプターが出動できなくなったり道路に被害が出たりしたため、消火活動は難航した。グリーンは「ラハイナでは何もかも焼け落ちた」と語っている。

グリーンは13日、米ケーブルテレビ局MSNBCの番組で、今回の山火事を「火のハリケーン」と表現。強風や非常に乾燥した状態など、地球温暖化によるマウイ島への「非常に現実的な」影響が被害に拍車をかけたとの認識を示した。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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