海岸浸食が深刻な問題に
何軒もの大型リゾートホテルが連なるハワイ・マウイ島カアナパリビーチで先日、海岸線沿いに設けられた遊歩道の一部が、迫りくる波によって崩れ、植えられていた樹木が倒れるなどの被害が出ていることが明らかになった。旅行客が滞在中に散歩を楽しめるこの遊歩道が、ここまで浸食を受けることはなかったという。この原因は、地球温暖化による海面上昇と考えられる。
またオアフ島北部のビーチ沿いの住宅でも、同じような危機が迫ってきている。自宅の庭先すぐに海が迫る住宅では、海岸の浸食が進み、住民たちは自宅を守るために対処せざるを得ない状況だ。ハワイ州土地自然資源局が9月に行ったドローン調査で、海岸線に建つ20軒の住宅の多くで、無許可の土嚢や石などが置かれていたという。
ホノルル市議会では、新規の土地開発を行う場合、都市部では海岸から60フィート(約18メートル)、農村部では130フィート(約40メートル)離れるとする法案の作成を検討しているが、このままでは土嚢などが海に流れ、海ごみが散乱することになる。さらに万が一、住宅すら海に崩れ落ちることになったら、大きな環境破壊につながる可能性がある。
海岸沿いに暮らす住民が退去し、現在の住宅を解体するとしても、費用や権利の問題などが複雑に絡み合っており、簡単に解決できることではなく、土地自然資源局では頭を抱えているようだ。
ワイキキビーチでも数十年以上前から砂を補充
このような海岸浸食の問題は、ハワイを代表するスポット、ワイキキビーチでも例外ではない。ワイキキビーチでは1985年頃から、浸食により砂浜部分の面積が狭くなることが確認されている。ワイキキはハワイを訪れる旅行客の大半が滞在するエリアで、ハワイ州における観光業の収入の4割近くがこの地域で生み出されるという。そのため、大勢の旅行客がくつろげるだけの十分な広さの砂浜を確保することは、ハワイ州経済にとっても必要不可欠だ。