いまだ犠牲者の捜索が続く、過去100年で最悪のハワイ・マウイ島の山火事

8月12日 ハワイ州ラハイナ(Photo by Matt McClain/The Washington Post via Getty Images)

8月8日(現地時間)にハワイ州マウイ島(マウイ郡)で発生した大規模な山火事。「ハリケーン・ドラ」の強風にあおられ、火災は一挙に広がり、マウイ島だけではなく隣のハワイ島西岸のコハラコーストにまで被害が及んだ。

鎮火はほぼ8割がた進んだものの、被害は拡大する一方で、マウイ郡の発表によると犠牲者は93人(現地時間8月12日現在)まで把握されているが、犠牲者数はこれまで最多だった2018年のカリフォルニア州山火事の犠牲者85人を上回り、米国で過去100年に発生した中で最悪の山火事となった。ハワイ州のジョシュ・グリーン知事は記者会見で「犠牲者はさらに増える可能性がある」と言及した。

さらにグリーン知事は「いままで経験したことのない規模の自然災害で、復旧にはとんでもない時間がかかる」と述べ、マウイ島西部で少なくとも2200棟の建物が損傷または破壊され、被害総額は約60億ドル(約8700億円)と推定されると説明した。
8月11日、ハワイ州ラハイナ (Photo by Mengshin Lin for The Washington Post via Getty Images)

8月11日 ハワイ州ラハイナ(Photo by Mengshin Lin for The Washington Post via Getty Images)


特に被害が激しかったのは、ハワイの古都でもあるマウイ島のラハイナ地区で、古き良き時代の建物が観光客にも人気だった町並みは、ほぼ焼失するに至った。海が目の前でノスタルジックなオールドタウンが広がり、観光客がシーフードをほおばりながら笑っていた町、ラハイナ。かつてこの町でクラムチャウダーを食べている途中で眠ってしまった3歳だった娘の姿を思い浮かべながら、現在の惨状には胸を痛めるしかない。

オアフ島でも広がる救援活動

この火災で自宅を失った人も多く、多くの住民が避難場所での生活を余儀なくされている。
当初、マウイ島からの避難民のための避難センターが置かれていたオアフ島のハワイ・コンベンションセンター

当初、マウイ島からの避難民のための避難センターが置かれていたオアフ島のハワイ・コンベンションセンター


ハワイ州の対応は迅速で、すぐに非常事態宣言を発出。マウイ島での避難所開設のほか、オアフ島ホノルルのハワイ・コンベンションセンター(ワイキキ西側のガラス張りの大きな建物で、通常や見本市やホノルルマラソンのゼッケン受け渡し場所などに使われている)に、避難者受け入れのための緊急避難センターを開設した。

マウイ島からホノルルのあるオアフ島までは距離にして約300キロメートル、航空機で約40分の距離だが、多くの航空会社が臨時便を就航して、避難民を運んでいる。またホノルルのダニエル・K・イノウエ国際空港から避難センターまでは、臨時シャトルバスが終日運行している。

アメリカ赤十字社と提携して運営されている緊急避難センターは、避難者が帰宅できるまで、あるいは自分でホテルに宿泊できるようになるまで、一時的な宿泊施設を提供し、水と食料、必要に応じてシャワー、洗面用具、衣類などを提供。ホテルに加えて民泊施設なども総動員して、避難民の宿泊先の確保に動き続けている。
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文=岩瀬 英介

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