こうしたマウイ島支援の輪は即座にオアフ島内にも広がり、身近なところでは筆者の娘が通っている幼稚園でも、支援物資を集めるイベントが開催された。
「ボトルウオーターや食料品、衣類やタオル、おむつやペーパー類などをもってきて!」と呼びかけ、多くのファミリーが呼びかけに応じて支援物資を提供しに集まった。
ほかにもサルベーションアーミー(救世軍)やフードバンク(食料支援団体)など多くの団体が支援に乗り出し、ハワイコミュニティ財団はマウイストロング基金を設立。義援金の受付を開始した。ハワイ州観光局日本支局は、同基金への日本語受付サイトを準備中だ。
東日本大震災のときもそうだったが、こうした災害発生時には、ハワイの人たちは寄付金や支援に関する動きが早い。地元の銀行や団体が、かなり迅速な動きで支援を送る仕組みを構築するのだ。
いわゆる「ハワイアンタイム」と呼ばれて普段はのんびりしているハワイの人たちだが、人助けとなると日本人より動きが早いのである。これも見返りを求めず人に尽くす「アロハスピリッツ」の体現なのだろう。月収が日本円で20万円以下の世帯でも収入の1割を教会に寄付したり、路上でホームレスにわざわざ車を降りて食料やお金を渡す姿をよく見かけたり、ハワイの人々の寄付や施しに関する考え方は、日本人とは根本的に違う。
宗教や教育の違いなのかもしれないが、人に尽くすという思考が身体に染み付いている、そんな風に感じるのである。
今回の火災でも、そんな「アロハスピリッツ」を十分に感じた。現在も周囲を見渡せば、マウイ島支援のために何かできないかと動いている人がたくさんいる。現在のハワイ住民の優先順位の一番は、マウイ島支援なのだ。青い海と青い空は相変わらず素晴らしく、夏休みで日本人観光客が増えているオアフ島だが、ローカルの心はマウイ島に向いているのである。
ただ、マウイ島に住む人からはこんな話も聞いた。オアフ島など島外からの支援物資がマウイ島のカフルイ空港に届いているのだが、避難所への交通手段が足りなかったり、火災の被害者ではない人に物資が流れたりで、本当に必要な人にすぐに届かない状況もあるのだという。避難警報の遅れで、着の身着のままで自宅を飛び出したという島民が多い中、早く確実に支援物資が避難民に届くことを祈るばかりである。