2023.07.29

熱波続く欧州、理想のバカンス先が英国と北部諸国にシフト

ギリシャ・ロードス島で、山火事の発生を受けてホテルから避難する観光客(Lefty Damian/Anadolu Agency via Getty Images)

山火事が猛威を振るうギリシャでは今週、ロードス島とコルフ島で休暇を楽しんでいた観光客が避難を余儀なくされ、水着姿のまま島を脱出した人もいた。旅行業界のアナリストは、短期的には英国と欧州北部の観光地が旅行業界における勝ち組となるとみている。南欧では、行楽シーズン真っただ中に焼けつくような猛暑に見舞われ、何千人もの観光客が避難する状況となっており、2兆ドル(約280兆円)規模の観光産業が気候変動の影響に脅かされていると、ブルームバーグは報じている。

ギリシャのキリアコス・ミツォタキス首相は、困難な日々と厳しい夏はまだ続くと述べた。英紙タイムズによれば、ギリシャ全土で山火事が相次いでおり、23日だけで64件の火災が発生、270人以上の消防士が消火活動に当たった。今月に入ってからの延焼面積は2万9000ヘクタールを超えたが、これは平年の2.5倍に相当する。端的に言ってギリシャの山火事史上、最悪の7月となっている。

他の南欧の観光地も、うだるような猛暑が続いている。今週はローマで40度超を観測したほか、多くの国で平年を大幅に上回る気温となった。ギリシャでは2021年時点で観光業が国内総生産(GDP)の14%以上を占めており、旅行者が欧州北部へと行き先を変更すれば、甚大な影響を受けることとなる。

一方、英国では、ジェット気流の影響で大西洋から吹き込む涼しい風が、欧州の熱波から沿岸部を守っている。南部ブライトンの海岸は気温22度と比較的穏やかな天候で、行楽客の姿が引きも切らない。

欧州旅行委員会は、今夏の地中海地域への旅行予約は10%減少したと発表した。今後さらに多くの人が、過ごしやすい英国のビーチや欧州北部の国々へ向かうとみられる。

実際、イングランド南岸の避暑地は今年、どこも大勢の旅行者でにぎわっている。かつて英国王ジョージ5世お気に入りの保養地だったボグナーリージスなどは、1930年代以降はすっかり衰退してしまっていたが、今年は予約が100%増加した。
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翻訳・編集=荻原藤緒

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