マーケティング

2023.08.19 11:00

「バズ」を生み出す明円卓。はじまりは両親へのプレゼンだった

クリエイティブディレクターの明円卓。原宿の「友達がやってるカフェ」にて

就活のために取り組んだ3つのこと

高校時代はダブルスクールで作曲の勉強をし、音楽での成功を目指していました。ただ、大学生になり上京してから表舞台に立つことは諦めました。
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その時は広告業界に進むなんてまったく考えていなかったのですが、大学3年生の冬に合同説明会で電通の名前を初めて知り、「音楽もCMもテレビも新聞も、何でもできる会社があるんだ、絶対に入りたい」と思いました。それと同時に「今のままじゃ絶対に受からない」とも思いました。

当時、電通がデジタルとグローバルに強い人材を積極採用するという方針を出していたので、それにふさわしいエピソードをつくってから採用試験を受けようと、1年間の休学を即決しました。

まずSNSに力を入れ、様々なアカウントを立ち上げました。SNSのアカウントをつくるのは無料なので、ひとつでも当たればいいなと。これは今も続けていて、近年では「うるう年にウルウルする」という、2月29日にウルウルするツイートを流すだけのアカウントとか、「優しさの鎌足」という優しいことをつぶやくだけのアカウントをつくりました。実際に世の中に出してみると、自分のアイデアが滑っているか、滑っていないかがわかりますよね。
それから、「schoo(スクー) WEB-campus.」というスタートアップの立ち上げにもかかわりました。生放送のライブ配信/オンライン授業を手がける企業なのですが、元々音楽業界を目指していたときにミュージックビデオの撮影現場でアルバイトをした経験もあり、放送ディレクターという形で入りました。
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あとは、企業にデジタル広告を自主提案していました。例えば、焼肉チェーンの牛角さんのチラシで、肉を焼く網の写真の上にQRコードをつけ、それをスマホで読み取ると肉が焼かれている映像が流れるという広告。これがSNSで話題になったんです。また、自分のつくったCM映像が米GoogleのCMに起用されるというラッキーもありました。

こうしたエピソードを1年間でたくさんつくって、2014年に電通のソーシャルコミュニケーション人材として、採用されました。

「自分の名前で仕事をもらいたい」

電通では本当にたくさんのことを学びました。CM企画ひとつをとっても、色々な先輩方や社外メンターの方に見せてアドバイスをもらいました。新入社員の特権ですよね。

この頃から、平日は会社員としてクライアントが求めるものをつくり、休日は自分の好きな企画をつくる、という生活をしていました。「自分の名前で仕事をいただけるようになりたい」という目標があったので、個人の活動も大切にしていました。「明円さんの企画が好きだから、この仕事をお願いしたい」と思っていただける人が増えればいいなと。
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文=釘崎彩子 取材・編集=田中友梨 撮影=小田光二

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