「バズ」を生み出す明円卓。はじまりは両親へのプレゼンだった

クリエイティブディレクターの明円卓。原宿の「友達がやってるカフェ」にて

そして2020年7月、30歳のときに独立しkakeruを創業しました。その翌月には恵比寿にバー「JANAI COFFE」をオープン。表はコーヒースタンドで、謎を解くと裏にあるバーに通される仕掛けがあります。そのユニークさが話題になり、当時3000程だったTwitter(現X)のフォロワーは、一気に1万に増えました。

これが僕を知ってもらう大きなきっかけになり、自分の名前でお仕事をいただけるようになりました。

SNSで「バズる」企画の極意は?

SNSで何かを広めるには、「いいね」が押されることが重要です。とにかく共感の数だけそれが話題になって広がっていくというシンプルなルールがあります。

それを前提に、僕は企画をつくるときに「何かの感情に触れる」ことを意識しています。企画会議のときに、「この企画は何の感情に触れているのか」を考えます。驚き、嬉しい、悲しい、ほっこりするなど、とにかく“感情に深くタッチしているかどうか”が、拡散数に比例するからです。

それに加えて、自分が感じたことを人に伝えたいと思わせるための、クリエイティブや設計が必要になります。

僕はよく、若年層向けの施策が得意と言われるのですが、「何かの感情に触れる」というのは、世代関係なくアプローチできる方法だと思います。“喜怒哀楽”は、人間が根源的に持っているものなので。ただ、新しいものや楽しいことにアクセスしやすいのが若い人というだけです。

世間の皆さんが思っているよりも、「Z世代」という括りはないと思います。全世代、見ているSNSは一緒ですし、10代の子たちも30~40代のものと同じものを読んで、ネットがなかった時代に比べると急速に大人になっています。上の世代の社会問題やマナーなども知っています。

そういう意味では、「10代を子ども扱いしないこと」が、僕の企画のポイントのひとつかもしれません。kakeruに参加してくれているインターンの学生たちとも、フラットに話をするようにしています。

8月6日に、バンダイナムコアミューズメントとコラボし、大阪にノンアルコールバー「JANAI GAMES」をオープンしました。ゲームセンター内にあるプリクラ機が入り口で、暗証番号を入れると扉が開き、裏にあるバーに入ることができます。
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文=釘崎彩子 取材・編集=田中友梨 撮影=小田光二

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