身近なものでつくってみる
プロトタイピングにレゴブロックを愛用している科学者がいます。MITの科学者が2018年に発表した微小流体工学キットは、基本的なレゴブロックで組み立てられるポンプでできています。レゴブロックはとても精密で、いろいろな構造をつくることができ、さらに世界中どこへ行っても規格は同じ。だから世界中にいるほかの科学者にプロトタイプを試してもらいたいときにとても有用なのだとか。身近なものでプロトタイピングすることで、世界中どこにいても同じようにプロトタイピングができるという効果もあるのです。
すぐにできることでつくってみる
以前、本連載「B面の履歴書」の回で紹介した田中学園立命館慶祥小学校の「B面を使って予算ゼロで先生が遊具をつくる」プロジェクト。先生たちから出てきたさまざまな遊具のアイデアは、3カ月の議論を経てもまだ構想段階にありました。とりあえず始めてみましょう!ということで1日だけで試せることをやってみることに。
例えば「敷地内の森に子どもたちがひとりずつ1平方メートルの土地をもっていたとしたら」というアイデアは、試しに校舎内のフリースペースに先生がテントなどの物を新しく置いて、子どもたちの反応を見ることになりました。すると早速1年生がすぐにその場所の変化に気がつき遊び始めたそうで、何もなかった場所が楽しげな感じになると誰でもワクワクしちゃうのだということを先生もあらためて実感したそうです。
全員分用意してみないと効果がわからないのではないか?など話し合いで悩んでいたことが、いますぐできることに絞ってみることで想像以上にいろいろなことを検証することができました。
自分にできることで。身近なもので。すぐにできることで。まずはやってみる。身の丈に合ったやり方さえ見つかればプロトタイピングはぐんと取り組みやすくなります。
実は私も身の丈プロトタイピングをやってみようということで「遊び」をテーマにしたとても小さな会社を立ち上げました。まだ設立して1カ月ほどしかたっていませんが、会社員では知らなかった世界を体験することができ、早くも「身の丈プロトタイピング」の効果を実感しているところです。
ぜひみなさんも自分に合った「身の丈プロトタイピング」を試してみてください!
本連載で発表しているすべてのコンセプトは、実際にビジネスに取り入れられるよう、講演や研修、ワークショップとしても提供しています。ご興味ある企業の方は、Forbes JAPAN編集部までお問い合わせください。
電通Bチーム◎2014年に秘密裏に始まった知る人ぞ知るクリエーティブチーム。社内外の特任リサーチャー50人が自分のB面を活用し、1人1ジャンルを常にリサーチ。社会を変える各種プロジェクトのみを支援している。平均年齢36歳。合言葉は「好奇心ファースト」。
大山 徹◎PLAY担当リサーチャー。2023年5月に「遊ぶ」「学ぶ」「伝える」の3本柱で、遊びの要素を加えたさまざまな企画をつくったり、お手伝いしたりする会社「ルテシア」を設立。