ビジネス

2023.08.15 08:30

製造業を面白くする人々。いまアトツギが注目される理由

モノづくりの現場が蓄積してきた技術やノウハウ。それを受け継いだ若いアトツギの挑戦が、日本の可能性を飛躍させる。マクアケ創業者による好評連載第32回。


私も設立当初から理事を務めている一般社団法人ベンチャー型事業承継が、この6月20日で5周年を迎えた。さまざまな製品のつくり手とかかわりながらMakuakeを運営していくなかで、あるときふと、工場でモノづくりをしている経営者たちのほとんどが、先代から事業を受け継いだ「後継者」であることに気づいた瞬間があった。

起業から間もないスタートアップがすぐに自社工場をもつのは難しいだろう。そう考えると、私たちの身の回りにある服も靴も食品も酒もキッチン用品もアウトドアアイテムも、さらにはハードウェアだって、そのほとんどが2代目や3代目(蔵元などにいたっては8代目という場合もあったりするわけだが)の後継者、いわゆるアトツギたちが運営する工場で製造されているともいえる。つまり、我々が日常的に使ったり買ったりするもののほとんどが、アトツギの経営者によって支えられているのだ。

そういった後継者のなかには、とても挑戦的かつ革新的な新規事業や新商品の開発に取り組んでいる人たちがいる。しかし、そういった後継者たちにはなかなか光が当たりづらく、また横のつながりも薄いという課題があった。そんな後継者というコミュニティを盛り上げていこう、そして増やしていく必要があると思っていたときに、まさにForbes JAPANが開催したスモール・ジャイアンツ アワードのイベントで、ベンチャー型事業承継の代表理事である山野千枝と出会い、志を共にしたことで今日まで理事をつとめさせてもらっている。

そして、5年の節目となる今年、「AVS2023〜SUMMER KYOTO」というカンファレンスイベントを開催した(6月23〜24日)。ちなみにAVSはアトツギ・ベンチャー・サミットの頭文字である。新規事業や新しい取り組みを展開したアトツギ社長や事業承継予定者が100人以上集まり、テーマごとにトークセッションを実施した。クローズドな場ということもあり、ほかでは聞けない生々しい話も多く展開され、どれも観客や参加者には好評で、会場では知見の交換や新しいつながりが次々と生まれていた。
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文=中山亮太郎 イラストレーション=岡村亮太

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