アマゾンのイベント戦略
米アマゾンのプロモーション戦略は、7月上旬の米国独立記念日の前後で毎年開催される48時間のイベント「Amazonプライムデー」で大きく変化する。このイベントと、10月の「プライムアーリーアクセスセール(Prime Early Access Sale)」の両方で、アマゾンは美容やパーソナルケアを含む何千もの製品のプロモーションを増やすのだ。ユーロモニターのVoice of the Consumer: Digital Survey(消費者の声:デジタル調査)によると、消費者がショッピングデーに参加する理由のトップは、割引やキャンペーンによる節約だ。オンラインショッピングをする人々の60%近くがこの理由を挙げており、次いで「送料無料」や「新商品を試す機会」が挙げられている。アマゾンは先日のプライムデーで、この消費者の節約志向を捉えたのだ。
ユーロモニターによると、アマゾンの美容・パーソナルケア商品のプロモーション実施率(訳注:全SKUのうち販促を実施したものの割合)は、7月13日のプライムデー期間中に17%とピークに達し、セール期間外の平均11%を上回る。プライムデーの期間中、美容・パーソナルケアをオンラインで販売する他の小売業者でもプロモーション実施率は上昇したが、アマゾンほどの上昇率は見られなかった。
同じくユーロモニターは、2022年と比較して2023年に小売業者がプロモーション戦略を調整したという形跡も示している。アマゾンは、2023年のプライムデー期間中、2022年よりも大々的なプロモーションを行い、プロモーション実施率の最高が2022年で11%だったのに対し、2023年は17%だった。一方で、年間を通してみると2022年と2023年のプロモーション実施率の差異は2~3%ほどとなっている。
競合他社では、まったく逆のことが起こった。2022年、競合他社のプロモーション実施率はアマゾンよりも高かった。ユーロモニターによると、競合他社によるプロモーション実施率は、2022年のプライムデー期間中、アマゾンよりも高かったという(アマゾンの11%に対して、平均16%)。アマゾン以外の小売企業は、景気の不透明感が増す中、売上を促進し在庫を削減するためにプロモーションに力を入れなければならないというプレッシャーをより強く感じていたようだ。