米医療業界に変化の兆し アマゾンがオンライン事業拡大、薬局大手は大量解雇

アマゾンのオンライン医療サービス「アマゾン・クリニック」のウェブサイト(Amazon.com)

アマゾンは昨年11月、オンライン医療サービス「アマゾン・クリニック」を発表した。便利かつ安価で信頼できる医療を自宅で受けられることを目指したサービスで、今では全米50州とコロンビア特別区(首都ワシントン)で提供されている。

アマゾン・クリニックでは、メッセージやビデオを通じて、尿路感染症、結膜炎、勃起不全(ED)といった一般的な疾患の診察が受けられる。利便性が非常に好評を得ており、顧客満足度は96%に上る。

利用者は、自身の体験を頻繁にシェアしている。ある顧客はこう書いている。「アマゾン・クリニックは、甲状腺の薬を補充してもらうのに信じられないほど簡単で便利だった。隠れた料金もなく、対面での診察も必要ない。健康保険に加入していない自分にとって一番うれしかったのはコストだった」

同サービスでは、アマゾンのウェブサイトとモバイルアプリを通じて、医師と直接やり取りができる。アマゾンは、顧客にとって最も便利な方法で必要な治療や薬を提供することで、人々の健康増進と維持を容易にしたいと述べている。

アマゾン・クリニックの最高医療責任者(CMO)兼ゼネラルマネジャーであるニボラ・アヨグ医師は、次のように述べている。「私は医師として、患者が健康でありたいと願っているにもかかわらず、医療を効果的に管理するための時間やツール、リソースが不足していることを目の当たりにしてきました。アマゾンは複数の医療サービスを提供し、健康に関して患者が必要とする選択肢、利便性、ケアの継続性を提供します」

州によっては、予約や保険がなくとも、メッセージやビデオ通話で医師と話すことができる。医師は、安全なメッセージポータルやビデオ通話を通じて、処方箋を出したり、推奨する治療計画を示したりする。処方された薬は、アマゾンによる無料配送あるいは自分が選ぶ薬局で受け取ることができる。

一方でCNNビジネスによると、米薬局大手CVSは、コスト削減のために5000人の従業員を解雇する予定だ。対象は「顧客対応以外の職種」で、主にコーポレートスタッフが影響を受けるとされる。
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翻訳=上西雄太・編集=遠藤宗生

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