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2023.08.07

米アマゾン、当日配達の地域拡大へ 注文から出荷準備完了まで11分

Gorodenkoff / Shutterstock.com

アマゾンは、米国で当日配達のために設置する専用倉庫を、今後数年間で倍増させる計画だ。ウォルマートやターゲットといった小売大手に対抗し、より早く商品を顧客に届けることを目指す強い意志の表れと言える。

アマゾンによると、一部の商品を対象とした当日配達は、すでに米国の90都市圏で行われている。つまり、配達体制の強化がすでに進められており、消費者から好評を得ているということだ。当日配達の拡大は、従来の配送センターよりも利用者に近い小規模倉庫を通じて行われる。

アマゾンはこれを、配送ネットワークの「地域化」と呼んでいる。これにより走行距離と荷物の受け渡しが減り、コスト削減につながると主張している。

以前は、西海岸から東海岸のニューヨークへ商品が配送されることも多かった。だが今は、8つの地域が相互接続され、顧客への配送距離は今年だけでも15%短縮された。この新体制により、注文の76%が顧客の地域内で完結するようになった。

ワールドワイド・アマゾン・ストアのダグ・ヘリントン最高経営責任者(CEO)によると、当日配達施設では、注文された商品をピッキングし出荷用トラックに載せるまで、平均で11分しかかからないという。これは、従来の倉庫よりも1時間以上速い。

サプライチェーンコンサルティング会社MWPVLインターナショナルのマーク・ウルフラートによると、アマゾンは現在、5時間以内に注文に対応する9000~3万平方メートル規模のサブ・セイム・デイ(SSD)施設を48カ所で運営している。さらに4施設が建設中であり、今後3年間でこれが150カ所に拡大する可能性があるという。

当日配達は、アマゾンが競合他社と差別化する方法であることは間違いない。顧客は迅速な配達を好むため、経営陣は競争力を高める方法として、当日配達の拠点を増やす必要性を認識している。

フルフィルメントの地域化による迅速な配送には、多くのメリットがある。アマゾンにとっては、フルフィルメントの効率化とコスト削減や、顧客満足度の向上にもつながる。特に衣料品の場合、迅速な配達により顧客がすぐに商品を着用できるようになり、その利便性に満足して返品が減ることも想定できる。返品率が下がれば、商品の補充の必要がなくなり、より多くのコスト削減につながる。

アマゾンは今のところ、非常に緩い返品ポリシーを採用しているが、今後、速達地域が広がれば、返品要件は変更される可能性もある。私個人としては、配達時間が短縮されても料金は値上がりせず、顧客の満足度が上がることはうれしく思う。

forbes.com 原文

翻訳=上西雄太・編集=遠藤宗生

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