健康

2023.08.17

ミレニアル世代のがん発症率が急増している理由

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加工食品の摂取や座りっぱなしの日常が、健康に良くないことは以前から知られていることですが、こうしたライフスタイルが、ミレニアル世代における早期発症がんの急増に関連していることが、新たな研究で明らかになりました。

フィナンシャル・タイムズ紙によると、過去30年間で、G20諸国の25歳から29歳のがん罹患率は、他のどの年齢層よりも急増しており、1990年から2019年の間に22%も増加しています。英紙は、ワシントン大学医学部の保険指標評価研究所(Institute for Health Metrics and Evaluation)のデータを分析し、欧米諸国における20歳から34歳のがん診断が過去30年間で最高水準に達していることを明らかにしました。一方、75歳以上のがん患者は2005年以降減少しています。

このような早期発症は、悲劇的な健康被害であると同時に、長期的な政策的影響ももたらしています。2020年から2050年までの世界のがんによる推定コストは、2017年の実質価格で252億ドルになります。研究者たちによると、これは、世界の国内総生産に対する年間0.55%の税金に相当します。

なぜミレニアル世代に、がん患者が増えているのか

がんをより早期発見できるようになったということも、若年層におけるがん罹患率の急増の一因でもありますが、フィナンシャル・タイムズ紙の分析や複数の研究によると、加工食品を多く食べるようになったこと、日常的に座っている時間が長くなっていること、毒素などの環境リスク要因にさらされるようになったことなどが、若者の栄養状態に大きな変化を起こしているようです。

欧米のライフスタイルは、1950年代から60年代にかけて劇的に変化し、それ以降に生まれた子供たちは幼い頃からこうした変化にさらされてきました。科学者たちはこれを「出生コホート効果」と呼んでおり、世代が進むごとに、後年になってがんを発症するリスクが高くなる現象が起きているのです。

ハーバード・チャン・スクールおよびハーバード・メディカル・スクールの教授であり、早期発症がんに関する画期的な研究論文の共著者である荻野周史氏は、「1960年生まれの人々は、1950年生まれの人々よりも50歳未満でがんを発症するリスクが高く、このリスクレベルは若い世代ほど高くなると予測している」と語っています。
早期発症がんが増加している背景には、食生活の乱れと座りっぱなしの生活習慣が影響している可能性があります。 Image: Nature

早期発症がんが増加している背景には、食生活の乱れと座りっぱなしの生活習慣が影響している可能性があります。 Image: Nature

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文=Gabi Thesing, Senior Writer, Forum Agenda

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