ロンハーマンやジェラートピケとのコラボレーションも好評で、ファッション性の高いメディカルアパレルブランドとして認知されている。そもそも医療業界は閉鎖的で、国内にはメディカルアパレルの分野で競合はいない。どのように市場を作り、広げてきたのだろうか。代表取締役の大和 新に成功の鍵を聞いた。
──御社と言えば、テーラード白衣開発で有名ですが、主力商品は白衣とスクラブ(上下分かれた医療ウェア)でしょうか。
そうですね。特にスクラブはここ数年で売り上げ比率が増えています。かつては一部の人しか着ていなかったスクラブを、多くの医療従事者が着るようになりました。
スクラブの機能性の高さはもちろんですが、医療現場の職種の変化や、ジェンダー観の変化でパンツの方が動きやすくて良いという価値観が広まり、白衣からスクラブへ切り替わっています。
また、医療従事者以外でも介護現場の方などがスクラブを着るようになり、大きな比率をスクラブが占めています。
──顧客は医療従事者がメインかと思いますが、一般消費者のニーズや反響はいかがですか。
そもそも会社のミッションとして、「世界中の医療現場に、人間的で、感性的で、直感的な革新を生む」と掲げて、企業ドメインは医療を中心に設定しています。全国の商業施設でのポップアップにも、基本的には医療従事者の方がいらっしゃいます。
「スクラブは動きやすい」ということで、保育士や研究者、美容分野を中心にスクラブを購入される方もいらっしゃるのですが、基本的には医療従事者にどう広げていくかを考えています。
最近は、SNSで「医療従事者じゃないけどクラシコのスクラブを使っている」という声を見かけるようになりました。また社内ではリモートワーク中にスクラブを着ている人も多いです。耐久性が高く評判がいいです。
──白衣の着心地やシルエットへのこだわりと、他の商品開発で生かしていることがあれば教えてください。
メディカルアパレル業界で長い間研究開発を進めてきたクラシコの強みが、素材です。
病院では白衣やスクラブを使用後、全て回収して病院提携の専門業者が洗うのが主流です。だから普通の洗濯よりもお湯の温度が高くて、洗剤も強力なものを使っています。手作業でアイロンをかけていられないので、鉄板のようなアイロンで上からプレスしたり。そうすると、普通のアパレルの素材だと耐えられない。生地もボタンもボロボロになってしまいます。
専門業者の洗濯に耐久できる素材でありながら、ファッション性、デザイン性、着心地を追求する。そんな素材をゼロから開発したというのが、クラシコの長年培ってきた強みです。
昨年にはそこから派生して、病院で入院した時のパジャマをレンタルできる「入院セット」のサービスを展開するエランと共同で、耐久性とデザイン性を両立した患者衣「lifte(リフテ)」を開発しました。