──テーラード白衣から始まった素材開発のこだわりを教えてください
私たちはもともと「お洒落な白衣が欲しい」という病院の先生の声から素材開発をはじめました。
一般的に白衣は、理科や保健室の先生が着用しているようなイメージで、多くがペラペラでぺったんこ、ポリエステル100%が主でした。業務用洗濯に最適化するということをとにかく突き詰めていった結果のデザイン、素材ですね。
着心地はよくないけれど、洗濯に耐えられて、保管もしやすい。しかし、従来の白衣素材では、デザイン性や着心地、肌触りを追求することはできない。
だから素材を糸から独自で開発しました。何回も試験を重ねながら、一つの素材を作るのに1年半、同時に5種類以上の素材開発を並行し、素材が完成するごとに製品化をしてきました。
それ以降商品ごとに、すべて素材から開発しているんです。例えばスーピマコットン100シリーズでは、絹のような光沢としなやかな風合いを持つその原綿を「強撚糸(きょうねんし)」という、糸の撚りを通常よりもさらに強く撚った糸にして織り上げることで、耐久性と着心地の両立を実現しています。クールテックという素材では、夏の病院の暑さに対応できるように通常の白衣の10倍の通気性を持たせました。もちろん耐久性もあります。
──ファッション性はどのようにコントロールしていますか。
基本的には商品企画チームで何回もデザインをチェックしています。機能性とデザインは一体のものと考えています。なので外見だけではなく、見た目より着心地、きめ細やかな素材を大切にしている側面も強いです。
一般的にアパレルは流通している素材を使って製品を作るので、素材から作っていることはよく驚かれます。
他のメディカルアパレルの会社も既存の素材を使っていたり、素材を開発していたとしても、洗濯耐久性に優れた素材を開発しようとするばかりで、ファッション性を追求している会社は無いのかもしれません。
──新商品開発に医療従事者の声を反映させているとのことですね。
はい、それが弊社の最大の特徴です。医療ユニフォーム業界は、まずメーカーが製品を作って、代理店が販売もしくはレンタルして、最後にエンドユーザーの医療従事者が着用します。普通はメーカーが直接医療従事者に販売するということはしません。
メーカー側がエンドユーザーの声を直接聞く機会がなく、だからこそ昔から白衣は変わらなかった。
私たちは15年前の創業時にECサイトで直接ドクターに製品を売ることを始めました。今で言うD2Cです。すると、お客様からの声がたくさん届くようになりました。良い声も悪い声も全て吸収して、製品に反映させてきたというのが我々の強みです。
例えばひんやりとした生地の「クールテック」シリーズは、夏に現場が暑く、汗だくになるという声から生まれました。
デオストレッチ、デオスクラブという商品も同様です。ドクターもナースもスクラブを着たまま仮眠をとって、夜中に呼ばれたらすぐ行くということがありますが、そのときスクラブは着たままなんです。昼間かいた汗や寝汗の匂いが気になるという方が多く、何度洗濯に出しても消臭効果が消えない素材をゼロから作りました。