──2021年、対前年比128%急成長の要因はなんでしょうか。(*売上は非公開)
新型コロナウイルスの流行は、医療業界にとって大きな試練でした。
医療従事者が休む間もなく働く中で「自分を労わるために、モチベーションを上げるために着るものにこだわろう」という風潮が出てきました。販売代理店ではなく、ECで自分で医療服を購入する動きもあり、私たちはニーズの変化をいち早く捉えて積極的にアプローチしました。
販売チャネルを増やしたことも要因の一つです。店舗「クラシコ丸の内」での販売を本格的にスタートさせました。常設店舗以外でも、実際に試着したい方向けにポップアップストアを開くと、各地で大きな反響をいただき、商業施設によってはポップアップストアベースで過去最高売上を記録したところもあります。
また、大きな病院への導入を増やしたり、中東の代理店と組んで作ったローカライズ商品を強化してヒットさせたり。さらに患者向けの商品を始めたことも、売り上げアップの複合的な要因です。
──様々なカラーのスクラブを展開していますよね。その背景は?
コロナ禍での医療の仕事が大変で辞めてしまう方が増える中、働き方や医療ウェアについても見直す動きが生まれました。なるべく働きやすいように、ユニフォームの色やデザインにこだわりモチベーションアップを目指す動きが生まれたんです。
スクラブはブルーかグリーンの手術着らしい色ばかりでした。私たちは普段も着られるようなデザイン・色で、それでいて医療現場でもきっちりとした印象のスクラブを作ろうと、色展開を探っています。
スクラブキャンバスクラブというシリーズでは、アーティストとのコラボも展開しています。
今年5月には、AZUSA IIDAさんとコラボしました。スクラブを見た患者さんが声をかけてくれてコミュニケーションが生まれたり、元気になってくれたりするそうです。今までのスクラブではありえない、機能としてのスクラブを一歩超えて、モチベーションやコミュニケーションに繋がるデザインも開発しています。
病院は抗菌や安全面が最大限配慮されていますが、その分殺伐としがちです。患者さんは治療を受けるだけでなく元気になるために病院に行っている。我が社のミッションとしても、そうした医療現場に貢献していきたいです。
──ロンハーマンやジェラートピケとのコラボは、どのように生まれたのでしょうか。
元々ロンハーマンにドクター白衣を作りたいという思いを持った担当者がいました。でも医療業界は閉鎖的で、他の業界から参入するのは難しい。たまたまロンハーマンと繋がりがあったドクターが「クラシコと組んだら」と提案してくださったようでお声がけいただき、コラボが2015年に始まりました。
今年で7回目で、毎年ディスカッションしながら新製品を考えています。売り上げや流行よりも、お互いの医療現場のためにやってみたいという思いで始めたコラボなので、継続していますね。
ジェラートピケとは2017年から。当時クラシコはナースウェアをやっていませんでした。それまではドクター向けに商品展開していたので、知的でかっこいいブランドイメージを持たれていました。しかし、ナースはかわいいものが好きな方が多い。ナースウェアを始めるならどこかとコラボした方が良いとなり、社内で名前が挙がりました。
ジェラートピケは「働く女性のオフを支援する」というきっかけで始まったと聞いていますが、ナースはオンもオフもないくらい忙しい。お声がけしたところ、ナースの「オンの時間」を支援できたら良いと考えていただき、コラボが決まりました。
基本的にはナース向けですが、女医向けにコート型の白衣も開発しました。