ヘルスケア

2023.08.04 12:30

「脳食いアメーバ」の死者、米国で相次ぐ 7月に2人死亡

shutterstock.com

症状は、感染の第2段階になるとより顕著になる。首の硬直や、精神状態の変化、幻覚といった症状が出るほか、昏睡(こんすい)状態に陥ることもある。この頃にはすでに、脳は大きく損傷している。
advertisement

だが、この段階にあっても、より一般的な細菌性髄膜炎などの病気と間違われることが多い。先にも言ったが、脳食いアメーバが真っ先に人の脳裏をよぎることはあまりない。このアメーバが実際に脳内のいたるところにいてもだ。

このように診断と治療が遅れることから、発症から18日間以内の致死率はほぼ100%となっている。1962~2022年の間にCDCに報告された症例は157件のみだが、学術誌Journal of the Pediatric Infectious Diseases Societyに発表された論文によると、米国で1962~2018年にPAMを発症した人のうち、生存したのはわずか4人。感染者の半数は、症状に気付いてから5日以内に死亡している。

このように、致死率が非常に高いため、アメーバが脳に入らないようにすることが大切だ。つまり、淡水が鼻の中に入らないようにする必要がある。湖や川、温泉、未消毒の水が使われているプールに入る際には、鼻をつまんだり、鼻栓をつけたりしよう。
advertisement

また、水道水を使った鼻洗浄も要注意だ。米国では過去に、頻繁に鼻洗浄をしていた女性の脳に違うタイプのアメーバが入り込み、感染症を起こした事例が報告されている。

さらにもう1つの注意事項として、フォーラーネグレリアは土の中にも存在する。なので、土を鼻に詰め込むのもNGだ。もちろん、アメーバがいなくとも土を鼻に詰め込むべきではないのだが。

幸い、フォーラーネグレリアは、どんな地域にも存在するわけではない。このアメーバは、温かい水を好む。CDCによると、これまでの感染例の大半は米本土の南側15州で夏に起きており、うち半分以上がテキサスとフロリダの南部2州で報告されている。ただし、気候変動により気温が上昇すれば、近い将来、北側の州でも感染例が確認されるようになるかもしれない。

forbes.com 原文

翻訳・編集=遠藤宗生

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事