ターニングポイント2 セガエンタM&Aでシェア拡大
GENDAの祖業はゲームセンターに卸す業務用ゲーム機のレンタル。堅実な売り上げの積み上げを図った。そのうえで、ゲームセンター業界の店舗シェアを拡大していくため戦略として置いたのがM&Aだ。
「世界一のエンタメ企業を目指すと考えたときに、 自社の事業だけで成長していくのには限界があります。M&Aを成長戦略にすることは、起業したときから決めていました」(申)
2018年6月に、最初のM&Aとして、景品の企画・制作を手がける「SPSS」をM&A。2019年7月には、アミューズメント企業の「ラウンドワン」と合弁会社「Kiddleton」を設立。米国で子ども向けアミューズメント施設の運営を開始した。
このように創業間もない頃から海外にも進出し、波に乗るGENDAだったが、ほどなくして、ゲームセンターにとって痛手となるコロナ禍が発生した。リアルな店舗を持つゲームセンター事業は、固定費が大きく、限界利益率の高いビジネスモデル、この荒波をまともに受けた。
ただ、決してコロナ禍は逆風ではなかったと、申は当時を振り返る。
「幸い、ゲーム機のレンタル事業を行うために創業期から金融機関の融資を受け、関係性を構築していました。すでに返済実績もあったことで信用もあり、GENDAのビジネスを理解してもらえていたので運転資金の確保はできました」
そうしたなか、申が「会社のステージがそこで変わった」という、大きなM&A案件が舞い込む。それが、「セガグループ(現セガ)」傘下の「セガエンタテインメント」が運営するアミューズメント事業だった。
同社はコロナ禍で打撃を受けていた。苦境のなかで助けを求められたGENDAは、2020年12月にセガエンタテインメントの株を85%取得し、ゲームセンターの店舗運営を引き受ける。
「コロナ禍の始まった2020年は、ゲームセンターの存続に対して多くの人が疑問を持っていました。ただ私たちは、必ず需要は回復すると確信していました。
なぜなら、緊急事態宣言が出ていても、お客さんはマスクを着用して、限定景品の発売に並んでくれていたからです。客足がすぐには戻らないにしても、そこに楽しいことがあれば、人はまた足を運ぶようになる。そう思っていました」