英語アプリGlobeeが上場 「バグだらけ」から300万人利用のサービスに

Globee代表取締役社長の幾嶋研三郎

IPO(新規株式公開)を果たした起業家たちは、どのようなターニングポイントを経て、事業を成長させてきたのか。本連載では、上場を手繰り寄せた「飛躍」の出来事と起業家たちの意思決定のプロセスに迫る。

今回話を聞いたのは、2023年6月14日に東証グロース市場に上場した「Globee(グロービー)」の代表取締役社長の幾嶋研三郎(いくしま・あきさぶろう)。

同社は2014年に創業し

・AI英語学習アプリ「abceed(エービーシード)」
・反転学習プラットフォーム「abceed for school」
・AI英語コーチングスクール「ABCEED ENGLISH」

の開発、運営を行っている。abceedは、TOEICや英検など700以上の市販教材をアプリ上で使うことができ、模試を受けることもできる。abceed登録ユーザーは300万人超(2022年12月時点)、月額1650円の有料会員は6.5万人(23年2月時点)に上る。

上場初値は2666円。6月に発表した四半期決算では、2023年5月期(予想)の売上高は9億4300万円(前期比33%増)、純利益は1億7000万円となった。

どのような過程で成長を実現してきたのか。IPOまでの3つのターニングポイントを振り返る。


ターニングポイント1 一冊の本に影響を受け、起業家を志す

幾嶋は、学生時代にGlobeeを創業。起業家を志すようになったのは、大学受験の時に出会った一冊の本に影響を受けてのことだった。

「大学受験に失敗し、滑り止めの大学に進学するか、浪人するか迷っていた時に、マザーハウス(途上国で作ったアパレル製品などを国内外で販売)の創業者である山口絵理子さんの著書『裸でも生きる』を読みました。『貧困』という社会問題解決に向けた山口さんの行動力に衝撃をうけました」

大学に進学した幾嶋は「英語を話せるようになろう」と決意する。受験時、英語の勉強に1番力を入れたにも関わらず、ネイティブの言葉を聞き取ることも話すこともできないことにもったいなさを感じてのことだった。

幾嶋は、留学生や帰国子女の友人作りや、フィリピンや米カリフォルニアへの短期留学など、1年間、徹底的な英語習得に励んだ。その後は英語サークルを立ち上げ、他校生や社会人も参加可能なイベントや、留学生との交流会、英会話や学習教材について意見交換をする会を開催した。

参加者は2000人を超える規模になり、参加費などで収益が立つようになった。そこで大学4年生のときに立ち上げたのがGlobeeだ。
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取材・編集=露原直人 文=小野瀬わかな 撮影=藤井さおり

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