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2023.07.28 07:00

創業5年でゲーセン業界3位 「GENDA」急成長を後押ししたコロナ禍の決断

GENDA代表取締役社長の申真衣(撮影=曽川拓哉)

GENDA代表取締役社長の申真衣(撮影=曽川拓哉)

2018年に創業し、わずか5年でゲームセンター業界シェア第3位にまで上り詰めたのが「GENDA(ジェンダ)」だ。同社は、業務用ゲーム機のレンタル事業を皮切りに、M&Aを繰り返しながら、ゲームセンターの運営で業績を伸ばしてきた。
 
また、コロナ禍にゲーム業界の老舗「セガエンタテインメント」をM&Aしたことは大きな話題となり、現在では売り上げ460億円に達している。7月28日には、東証グロース市場に上場を果たした。
 
2024年1月期の通期見通しでは、売上高475億円(前期比3.1%増)、純利益35億円と公表している。(2023年6月時点)。
 
IPOに至るまでには、いくつかのターニングポイントがあったという。GENDAの代表取締役社長の申真衣に話を聞いた。

ターニングポイント1 エンタメ界の大物と出会い起業

申は東京大学経済学部を卒業後、2007年にゴールドマン・サックス証券に入社。金融派生商品の営業として6年間にわたり経験を積んだ後、金融商品開発部の部長や最年少でマネージングディレクターに就任する。順調にキャリアを重ねていったが、申が次第に感じるようになったのは“閉塞感”だったという。
 
「金融規制の影響で、新しい商品を生み出すことが難しくなっていて、それとともに自分自身の成長の鈍化も感じ始めていました」
 
転職や起業という選択肢を考え始めた申は、スタートアップ経営者や投資家などに自ら声をかけ、会いに出かけた。約1年間、彼らの事業内容や展望、投資環境などをヒアリングするなかで、友人の紹介で出会ったのが、後にGENDAの共同創業者となる片岡尚だった。
 
片岡は「イオンファンタジー」(ショッピングセンター内で子ども向け遊戯施設を運営)や「イオンエンターテイメント」(大型映画館「イオンシネマ」運営)の代表取締役社長を歴任した人物。社長在任中の5年間でイオンファンタジーの時価総額を231億円から1310億円に引き上げた実績を持つ、エンタメ業界の大物だ。
 
片岡は申にこう語った。「世界一のエンタメ企業をつくろう」
 
ゲームセンター業界は、店舗数こそ減少しているものの、市場規模は2014年頃(4222億円)から右肩上がりに成長し、コロナ禍前の2019年には、5408億円に上昇していた。申は次のように語る。
 
「意外だったのが、大手企業の寡占化が進んでいなかったことです。上位の5社でもシェアの半分もいかないぐらいで、小規模事業者がたくさんいたのです。
 
実は高校生の頃に、自分にもゲームセンターにプリクラを撮りに行くという時代があったのですが(笑)、それまで市場としての面白さがあることは知らず、直感的にこれをやりたいと思いました」
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文=露原直人 撮影=曽川拓哉

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