ビル・ゲイツが認めた「地中水素」を掘削するスタートアップ

数年先には商用化が始まる

この分野では、さまざまな企業による探査や掘削が始まっており、エネルギー省の新たなプログラムも始動した。「地中水素の商業オペレーションは、数十年先ではなく、数年先の話です」とウェバーは話す。
 
現状で世界で生産されている水素の約40%は石炭から製造されており、天然ガスから製造するよりもCO2排出量が大きい。そのため、グリーン水素や天然水素を供給できる企業には、近い将来にかなりの需要が見込まれるとウェバーは指摘した。
 
しかしコロマは、市場がまだ十分に整っていないことを理由に、市場投入を急いでいない。「現状では水素の大口の顧客は、製油所とアンモニア工場だけです。私たちは能力を高め、水素の需要がピークに達する頃に商業化できるよう努力しています」と、同社のCEOのジョンソンは述べた。
 
水素は燃焼しやすく、高圧下では爆発する可能性がある。ヒンデンブルグ号やスペースシャトル・チャレンジャーの事故を思い起こさせる話だが、水素の掘削が大惨事を引き起こす可能性は低い。地中深くの水素ポケットのおかけで、酸素から遮断されているためだ。
 
ダラーは、地中水素の掘削がCO2を排出しないだけでなく、石油や天然ガスよりも水の使用量が少なく、環境へのリスクも低いと確信している。「ガソリンが普及したのは、土地の使用量が少ない密度の高いエネルギー源だったからです。平準化されたコストやCO2の排出量を考えると、地中水素の利点はすべてそこにあるのです」
 
ウェバーは、5年前に地中水素の研究を始めたときに、心が震えたと述べている。「地球は、あなたが心を開いて見ようとするならば、常に答えを持っているのです。この惑星は私たちに風力や太陽光、水力といったエネルギーを与えてくれました。すべては、ある種の壮大な哲学的な弧の中に組み込まれているのです」と彼は語った。
 
forbes.com 原文

編集=上田裕資

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