ウクライナのハンナ・マリャル国防次官が、7月18日にテレグラムに投稿した同州での一方的な戦闘の検証は難しい。
マリャルはM2の乗員の写真を載せたが、戦闘についての記録は提供せず、戦闘がいつ、どこで行われたのか明確に示さなかった。
ウクライナ南部で行われた6月上旬の反攻の初期段階で、ウクライナ軍はマラトクマチカ郊外の地雷原で大きな損失を被った。その後、第47旅団とともに戦っている第33独立機械化旅団は、ロシア軍が防衛にかなり有利な場所を占めているロボティネ郊外まで数キロ南下して戦った。
ロボティネ地区で撮影された最近の映像には、ウクライナ軍がロシア軍から奪ったとみられる塹壕に身を隠す一方で、M2が近くのロシア軍を攻撃している様子が映っている。
M2とT72の小競り合いは、マリャルが説明したようなものだったとすれば、M2の強みを浮き彫りにしている。重量25トンのこの歩兵戦闘車(IFV)は速射の25ミリ機関砲と長距離の対戦車ミサイルであるTOWを備えており、装甲は強力だ。
マリャルはM2についてこう書いている。「M2は当初、左右からロシアの歩兵隊にはさまれていた。歩兵らが機関砲でやられると、ロシア軍はウクライナ軍のブラッドレーを本気で仕留めるためすぐさま2両のT72を戦闘に投入した」
#Ukraine Magura's 47th brigade, supported by Bradley, storms the Ork positions in the Zaporozhye direction 🔥 pic.twitter.com/DjID4yr8WY
— Getty (@region776) July 10, 2023
だがM2は典型的な歩兵戦闘車ではない。「ブラッドレーは特に、ロシアがウクライナで配備しているあらゆる種類の装甲車に対抗できる強力な能力を持っている」と、米国防総省のローラ・クーパー副次官補は1月に記者団に語った。米国が初めてウクライナに50両のM2の供与を約束した直後のことだ。
その後、さらに供与が約束され、ウクライナ軍に向けられるM2は190両まで増えた。第47旅団が失った数十両を補充をし、別の旅団にも配備するのに十分な数だ。
M2の25ミリ機関砲は、1秒間に徹甲弾3発を約2.7キロ先まで飛ばし、T72の側面の厚さ150ミリの装甲を貫くことができる。
また、ブラッドレーの砲塔に装填された重量約22キロの2発のTOWミサイルは3キロあまり離れたところから、あらゆる角度でT72の装甲を吹き飛ばすことができる。
おそらくさらに重要なのは、M2の昼夜使える照準装置は何キロも先まではっきりと見えるため、敵に発見される前に敵を見つけられることだ。「ブラッドは戦車ではないが、戦車キラーになれる」と、1991年のクウェートでの砂漠の嵐作戦でM2の偵察バージョンであるM3を指揮した米陸軍退役中将のマーク・ハートリングはツイートした。
ウクライナ軍のM2は、数十年前に米軍のM2がイラク軍のT72にしたことを、ロシア軍のT72に行ったと報告されている。「ロシア軍の戦車2両はただちに炎に包まれた」「ブラッドレーは強力な対戦車ミサイルを装備しており、乗員はそれを巧みに扱った」とマリャルは投稿した。
(forbes.com 原文)