WHAT WE THINK
Amazonは、特に価格と物流に強みを持つ本格的なアパレル小売企業としての地位を確固たるものにしています。さらに、今後は全国的なフルフィルメントネットワークを地域別モデルに移行する予定をしており、これにより配送スピードの向上とコスト削減が今後も期待されます。一方で、量販店や百貨店との競争に常にさらされており、今年は買い物客数でWalmartに首位の座を奪われました。
しかし、衣料品とフットウェアの分野では、投入コストの高騰やサプライチェーンの混乱など、さまざまな課題があるにもかかわらず、高い購買力を維持できていることは、店舗型のアパレル専門店と比較して、同社の回復力の高さを示しているといえるでしょう。
そのため、来年の調査でも、Amazonの利用割合は相対的に向上することが予想されます。
アパレル購入者は、ブランドや店舗へのロイヤリティよりも、価格、品揃え、品質、スピードを優先しています。今年、会費の値上げに伴いプライム会員数は若干減少しましたが、プライム会員でない消費者の購入率は大幅に上昇しました。
Amazonではアパレルのカテゴリーを超えた購入が増えており、すべてのアパレルカテゴリーで購入される割合が前年より増加しています。最も購入されているカテゴリーはフットウェアとカジュアル衣料で、今年はメンズカジュアルが顕著に増加しました。なお、子供衣料・フットウェア、フォーマルウェア、コート・ジャケットは購入率が低めです。
多くのアパレル購入者は、Amazonをオフプライスの小売企業として認識しており、約3分の1の回答者(34%)がAmazonでは正規の価格より低い価格を期待しています。しかし、Amazonのプライベートブランドは、今年、NIKEの後ろに位置付ける結果となりました。
今後、プライベートブランドの成長を維持するためには、Amazonは手頃な価格や無料のスピード配送などの競争力をもとに、ブランドの認知度とロイヤリティを高める必要があるでしょう。
ブランドや小売企業にとっての意味合い
・Amazonがアパレル専門店を大きく引き離していることは、この分野の小売企業にとって、強力なEコマースの存在感と無料のスピード配送が重要であることを示唆しています。・Targetやその他の小売企業は、Amazonのプライムサービスから学べることが多くあり、同様の定期購入パッケージを導入することで利益を得ることができる可能性があります。
・プライベートブランドは小売企業にとって、魅力的な価格優位性を維持し、サプライチェーンを直接管理するために、ますます重要性を増しています。また、プライベートブランドの普及は、高インフレの中、投入コストの上昇を緩和するのにもつながります。
調査の方法論
本稿のデータは、Coresight Researchが毎年実施している米国のオンライン消費者を対象としたAmazonアパレル調査で、2023年3月(2000人)、2022年2月(2138人)、2021年3月(2006人)、2020年2月(1934人)、2019年2月(1732人)、2018年1月末(1699人)に実施しています。
全体では、結果は±2%の誤差があり、95%の信頼区間があります。また、Amazonのアパレル購入者1228人(2023年)の一部では、誤差が約±3%に上昇します。
※この記事は、2023年4月にリリースされたRxR Innovation Initiativeからの転載です。