2023年3月に実施した第6回目となるAmazonのアパレル購入に関する調査は、2000人の米国の消費者を対象に実施しました。本稿では、調査結果を質問ごとに解説し、6年間の累積調査データから得られた重要な洞察を解説しています。
Amazonのアパレル米国消費者調査2023
Coresight Researchでは、Amazonが米国で販売した衣料品、フットウェア、およびアパレルアクセサリーの2022年の売上は、同社マーケットプレイスのサードパーティセラーの販売を含めて506億ドルにのぼったと推定しています。その結果、Amazonは同市場における最大手小売企業となり、最も近い競合であるWalmart(Sam's Clubを除く)のアパレル売上高約300億ドルを約70%も上回ったと推定されます。
パンデミック前のトレンドへの回帰
今年は、2018年、2019年に見られたパンデミック前のトレンドに戻る形で、調査前の1年間にAmazonでアパレルを購入したと回答した人の割合が、来年もAmazonでアパレルを購入する予定であると回答した人の割合を下回る結果となりました。・過去12カ月間にAmazonでアパレルを購入したと回答した人の割合は、昨年上昇した後、今年は2.0ポイント減少して68.4%となりましたが、2021年の水準は依然として上回っています。インフレの継続は、2022年にアパレルへの支出を含む、特定の消費者の裁量支出に打撃を与えました。
しかし、インフレによる低迷は2023年までは継続しないと予想されるため、来年の調査ではこの数値が上昇する可能性が高いと思われます。
・「今後12カ月間にAmazonでアパレルを購入する」と回答した人の割合は、6.7ポイント増の72.7%と、調査を実施してきた6年間で最も高く、来年はアパレルの購入状況が改善されるとの見方が強まっています。
過去12カ月間にAmazonでアパレルを購入したと回答した人と、今後12カ月間にAmazonでアパレルを購入する予定であると回答した人の割合が大きく異なることから、今後、同分野の売上は増加し、さらなるシェア向上が期待されます。
図1. 米国のアパレル購入者がAmazonでアパレルを購入したことがある、もしくは購入する予定があると回答した人の割合(回答者の割合)
(図内の訳、コメント「過去12カ月間にAmazonでアパレルを購入したと回答した人の割合は、今後12カ月間にAmazonでアパレルを購入する予定であると回答した人の割合を下回っている」)
対象:過去12カ月間にアパレルを購入した18歳以上の米国消費者(2018年1564人、2019年1618人、2020年1855人、2021年1818人、2022年1999人、2023年1803人)。
出典:Coresight Research
プライム会員がAmazonでの購入率を牽引
Amazonでのアパレル購入率を強く牽引しているのはプライム会員です。今年、Amazonでアパレルを購入した人の内訳では、非プライム会員が44.1%だったのに対し、プライム会員の割合は79.1%で(図2参照)、昨年と同程度の数字でした。一方、家族の誰かを介してプライムサービスを利用して購入した人のうち、約71%が2023年にAmazonでアパレルを購入しており、昨年よりやや高い数値となっています。
図2. 過去12カ月にAmazonでアパレルを購入した米国消費者のプライム会員の内訳(回答者の割合)
(図内の訳、選択肢左から「プライム会員である」「自分はプライム会員ではないが、家族の誰かが会員であるためサービスを利用できる環境にある」「プライム会員ではない」
コメント「プライム会員がAmazonでの購入率を牽引している」)
対象:過去12カ月間にアパレルを購入した18歳以上の米国消費者1803名(2023年3月調査)
出典:Coresight Research