教育

2023.07.26 08:30

費用は年間700万円 日本上陸ラグビー・スクールの「全人教育」とは

トニー・ダービー ラグビー・スクール・ジャパン初代校長

英国には「ザ・ナイン」と呼ばれる9つの名門ボーディングスクールがある。ウィリアム王子も通ったイートン校は、日本でも馴染みがあるのではないだろうか。約450年の歴史を持つラグビーもその一つに名を連ね、前述したラグビーゲームの発祥の地として、また、初めてボーディングハウスを併設した寄宿学校として知られている。
advertisement

同校が掲げるのが、「全人教育(The Whole Person, The Whole Point)」という理念。ダービー氏曰く、「幅広い知識を持ち、人生のあらゆる側面で目標に向かって前進できる大人を育てる」考えだという。

そのために同校では3つの面でアプローチする。まず、学業。そして、スポーツやクリエイティブ。加えて特徴的なのが、「パストラルケア」だ。生徒ひとりひとりにチューターがつき、生活やメンタル面も含めた包括的なサポートを行う。

「ジャパン校では、ひとクラスの生徒は最大で20人。9月の入学では160人の生徒を想定してますが、それに対して23人の教員がいます。教員は、生徒たちのインスピレーションともなる重要な存在。密度の濃いコミュニケーションで、生徒たちの学力や才能だけでなく、個性も育てていきたいと考えています」

打たれ強い“国際的な人間”を育てる

親元を離れたボーディング。そこは、「ひとつの大きな家族のような安全な環境」であり、一緒に暮らし、学び、多くの経験を共にすることで生涯の友人を得られるのだという。親にとっては、「子どものことを気にせず思う存分に仕事ができる」ことも大きなメリットだと、子息の入学を決めた母親は語る。
advertisement

とはいえ、完全に手放しというわけではない。「親御さんには、随時、成績や健康状態などを共有します。学校は親代わりになるのではなく、一緒に育てていくパートナーシップのような関係です」とダービー氏。

日本の有名私立校の5倍以上の学費を払ってまで子どもの入学を希望する親は、ともに日本人の家庭もあれば、親のいずれかが外国人の家庭、各国から駐在で来ている家庭などさまざま。国際的なマインドを持つ親が多く、「子どもにも、生まれ育った国の外でも打たれ強く生きていける“International Citizen”になってほしいと考え、そのための最良の環境を求めている」という共通点があるという。

ここでいう環境には、柏の葉のキャンパスのほか、“エンリッチメント・キャンパス”と呼ばれる北海道にある合宿施設、あるいは、英国校やバンコク校との交流も含まれる。入学に際して、統一の試験日があるのではなく、随時受け付けるというのも歓迎される制度だろう。
次ページ > 規則の中で、自由な選択を

編集=鈴木奈央 写真=山田大輔

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事