宇宙

2023.07.19

「最も古くて遠い」ブラックホールをジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が発見

史上最も遠い超大質量ブラックホールはビッグバンのわずか5億7000万年後に生まれた。画像はブラックホールの想像図(Getty Images)

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を使っている研究チームが、宇宙を創造したビッグバンからわずか5億7000万年から存在している史上最も遠い超大質量ブラックホールを見つけた。

この新たなデータは、宇宙の歴史において最初の数億年間におけるブラックホールの成長、進化に関する天文学者の考えを変えるかもしれない。

また、新データは「これまで知られていない2個のブラックホール」「宇宙がわずか4億7000万~6億7500万歳の時に存在した11個の銀河」に関する証拠も発見している。

破られる記録

しかし、CEER 1019と呼ばれるそのブラックホールが「最も遠い」という記録を保持していられるのは数週間だけかもしれない。

なぜならウェッブ宇宙望遠鏡から送られてくるかすかな初期宇宙に関する信じられないほど精密なデータが、天文学者を驚かせるほどのペースでサプライズをもたらし続けているからだ。

The Astrophysical Journal Lettersに掲載された最も遠いブラックホールの証拠に関する別の発見は、ウェッブ宇宙望遠鏡のCosmic Evolution Early Release Science(CEERS)サーベイによるものだ。調査の目的は、初期の星々からの光が宇宙をウォーミングアップさせた「宇宙再イオン化時代」の銀河を研究することだ。

CEERSはウェッブ宇宙望遠鏡を使って、初期宇宙の近赤外線と中赤外線の画像を異なる波長と組み合わせる。

現在知られている宇宙で最も遠い超大質量ブラックホールを検出したことを示すグラフィック。地上および宇宙のさまざまな望遠鏡によって同定されている。3つはジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡のCEERSサーベイによって最近同定された(NASA, ESA, CSA, LEAH HUSTAK (STSCI))現在知られている宇宙で最も遠い超大質量ブラックホールを検出したことを示す図。地上および宇宙のさまざまな望遠鏡によって同定されている。3つはジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡のCEERSサーベイによって最近同定された(NASA, ESA, CSA, LEAH HUSTAK (STSCI))
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翻訳=高橋信夫

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