宇宙

2023.07.12

液体の水がある惑星は「通説の100倍存在」との研究結果

地下海のある凍った惑星の想像図(LUJENDRA OJHA)

宇宙には、液体の水がある太陽系外惑星が、これまで考えられていたよりも数多く存在している可能性が高いとの研究結果が10日、発表された。地球外生命体が存在する可能性を劇的に高めるものだとされる。

研究を率いた米ニュージャージー州ラトガース大学のルジェンドラ・オジャ博士は、仏リヨンで行われているゴールドシュミット地球化学会議で「これまで恒星100個につき1個程度の岩石惑星に液体の水があると推定されていました」と話した。「新しいモデルは、条件が揃えば、この割合が恒星1個につき惑星1個に近づくことを示しています。つまり、液体の水が見つかる可能性は通説の100倍になります」

天の川銀河には少なくとも1000億個の恒星があるので、「宇宙のどこかに生命の起源が存在する確率はかなり高いことを意味しています」とオジャは説明している。今回の発表の基となった論文は科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表された。

地下海

海や湖や川のある地球に似た系外惑星(太陽以外の恒星を公転している惑星)が存在する可能性は低いと考えられている。だが本研究は、多くの恒星系で、惑星の表面下に液体の水を保持するのに適した地質条件があることを明らかにした。

こうした地下海は、太陽系ではすでに見つかっている。土星の衛星エンケラドゥスや、木星の衛星エウロパとガニメデには、氷の殻の下に塩水湖があると考えられている。さらに、準惑星の冥王星とケレスや、天王星の衛星にも地下海がある可能性がある。

生命に不可欠

本研究は、生命存在に不可欠である液体の水が、これまで惑星科学者たちがあまり考えていなかった場所でも見つかる可能性があることを示している。「これは、生命が理論上発生しうる環境を見つける確率を著しく高めるものです」とオジャは述べた。

研究チームは、凍った惑星・衛星が地下に液体の水を保持する上で必要な条件として、以下に注目した。

・星の地下深くの放射能による熱が、水を温めて液体に保つのに十分である(地球の南極やカナダ北極圏でも同様の現象がみられる)

・星が周回する大型惑星の重力効果
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翻訳=高橋信夫・編集=遠藤宗生

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