国内

2023.07.10 12:00

スタートアップ人口増狙ったIVS京都 参加制やブース新設の効果は

提供=IVS

これから起業する研究者4人がピッチ

なかでもReverse pitchでは、最終日にまさにこれからスタートアップを始める研究者たちが登壇。「研究シーズリバースピッチ With KSAC」として、関西の大学から起業を目指す4人の研究者がピッチした。
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司会を務めた「京都大学イノベーションキャピタル」というVCの投資部長を務める八木信宏氏は次のように語った。

「京都には京セラや任天堂、ニデックといった有名企業があり、戦後はベンチャー企業がたくさん出てきました。最近はその勢いが小さくなっているということで、『京の都再び』を掲げて活動しています。

そのために一番重要なのは人材です。大学の研究者は、研究のプロですが事業のプロではありません。ここに集まっている方たちには、ぜひスタートアップへジョインし、助けてもらえたらと思っています」
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左から、京都大学イノベーションキャピタル八木信宏氏、奈良先端科学技術大学院大学の出村拓氏、関西大学の田實佳郎氏、京都大学の谷森達氏、関西学院大学の山本倫也氏

登壇した研究者たちのプレゼン内容は次の通りだ。

「光る植物(LEP)」 奈良先端科学技術大学院大学 出村拓氏
遺伝子組み換え技術を使い、光る植物を開発。電気を使わず二酸化炭素排出のない生活の実現を目指す。街路灯や防犯灯の代替として利用できて、200億円ほどの市場規模があり、家庭の観葉植物やライトとして使用されれば、売り上げは約100億円に達する。今年9月に法人設立予定。

「センサーによるペットモニタリング」 関西大学 田實佳郎氏
ひも状の細いセンサーで、ペットの呼吸や活動量、心電図を計測する。ペットの衣服などに縫い付けることができ、リアルタイムで健康状態が確認できる仕組み。広島県福山市のドッグラン施設などで実証実験が進んでいる。

「放射線を可視化」 京都大学 谷森達氏
独自の光学カメラで、人の目では見えない放射線の一種であるガンマ線を可視化する。例えば、原子力発電所の事故発生時の安全な除染作業、月面の鉱物資源の探索などへの応用が期待できる。放射線薬でガン治療を行う際、個々人に合わせた投与量を調整することも可能。放射線関連産業は日本国内で10兆円の規模があり、世界では数十倍になる。

「眼球トレーニング」 関西学院大学 山本倫也氏
読み書きや球技が苦手な子どもに向けた眼球運動のトレーニング。眼球には左右で12本の筋肉があるが、スマートフォンなどを長時間利用することで筋肉が硬直し、眼の調整機能が下がる。特に子どもは、教科書や本を読み進めることに支障をきたすケースもあり、学習困難者が増加している。画面にランダムに映った数字を目で追っていくなど、筋肉の硬直を和らげるトレーニング機器を開発。

次回のIVSイベントは、今年11月29日の「LAUNCHPAD SEED Powered by 東急不動産株式会社」。シードスタートアップに特化したピッチイベントで、東京ポートシティ竹芝 ポートホールで開催される。
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文=露原直人

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