アート

2023.07.02 11:30

画家・井田幸昌が、生涯のテーマ「一期一会」を決めた瞬間

アトリエで作品を眺める画家・井田幸昌

アトリエで作品を眺める画家・井田幸昌

「インドへ行くと価値観が変わる」とはよく聞かれる言葉だが、画家・井田幸昌のインド旅はそれそのものだった。22歳、大人になってから初めての海外旅行だった。

井田をインドに誘ったのは、父の友人でもある、ある教師だった。井田は言う。「偶然を必然に変えるのが人生」だと。その教師とのインドへの旅はまさに、偶然を必然に変えるものとなった。

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井田幸昌は、なぜ画家になったのか。ひたすら「手」を描いた中学時代

スラム街に書かれた「Life is Short」

約1カ月の旅でインド各地を訪問し、あらゆるものを見て回った。

路上で人が生まれ、死んでいくのが当たり前の国。ガンジス川では、亡くなった人が川のほとりで火葬され、その灰が川へ流される日常があった。街に出ると、服なのかどうなのかもわからないボロボロの布をまとった幼い子どもが物乞いをし、ゴミの山をあさっていた。

そこに生きる人々は、夢や希望など考えるヒマもない、目の前の「生」だけが大事かのように見えた。そんな、世界のどこかに常に存在しているであろう格差や、文化の相違を突きつけられた。

インドのガンジス川/Getty Images

ひとつ心に残ってる光景がある。インドの西海岸にある大都市・ムンバイを訪れたときのことだ。
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文=尾田健太郎 取材・編集=田中友梨 撮影=山田大輔

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