一方、固定設備としては設置しないものの、サプライヤーと契約してオフィスの一遇に食事を「置く」形式の「置き型社食」が登場したり、食事補助として「食費を半額負担」する福利厚生を採用する企業も出てきている。
さまざまな選択肢があるなか、あえて維持コストのかかる自前の「社食」を設置する企業のパフォーマンスはいったいどうなっているのか、ROEや生産性などとの連関性はあるのかを確かめたい──。編集部では、Forbes JAPAN 「日本の起業家ランキング みずほ賞(2023年版)」にも選出された非財務データバンク「サステナブル・ラボ」にリサーチを依頼した。
以下、結果のデータと考察を紹介し、Forbes JAPAN Web編集長 谷本 有香によるコメントを掲載する。
関連記事:企業の利他的活動と「時価総額・生産性率」に関係はあるか?
今回は、「社食の設置有無」と企業の特徴、パフォーマンスについてさまざまな角度からの調査を試みた。
結果、プライム企業の約1/3が社員食堂を設置しており、業界別では不動産・公益事業・通信の5割弱が社食を提供しており、中でも金融・情報技術・コミュニケーションサービス等、高度なスキルを持った人材が必要なセクターでは「社食を設置している企業」と「していない企業」のROEの差が最も高い、などの非常に興味深い事実が明らかになった。
ユニークな社食のある企業はどこか?
まずは、ユニークな社食のある企業と、その社食について以下、説明しよう。■セガサミーホールディングス──ダーツバーや図書館も!
同社の社員食堂は、大豆ミートやサステナブル・シーフード等の環境・社会に配慮した材料が使われたり、TABLE FOR TWO等、食の不均衡の解消に向けた取り組みが行われるなど、先進的である。社食シンポジウム2023で「SDGs社食アワード・企業賞」を受賞。また、社員食堂はコワーキングスペースとしても利用でき、ゲームやダーツなどの遊びの場や図書館も提供している。
■パナソニック ホールディングス ──MSC/ASC認証取得の水産物を提供
2018年より日本の社員食堂として初めてサステナブル・シーフードの導入を行い、MSC及びASC認証を取得した水産物を継続的に提供している。また、健康管理や食育にも力を入れており、栄養士がメニューのカロリーや塩分量などを表示したり、季節やイベントに合わせた特別メニューを提供したりしている。