ロシアで2番目の富豪らが国外に避難、ワグネルの反乱で

ウラジーミル・ポターニン(Photo by Mikhail Svetlov/Getty Images)

ロシアの民間軍事組織ワグネルは6月24日、ロシア南部のロストフ州を制圧し、モスクワに向かって「正義のための行進」行進を開始した。その数時間後、ロシアの2人の富豪が所有するジェット機がモスクワを飛び立ったことが、フライト追跡サービスFlightradar24のデータで判明している。

プーチン大統領は演説で、ワグネルを国家反逆罪に問い、彼らが避けられない罰に直面すると語ったが、ロシアのオリガルヒと呼ばれる新興財閥の富豪のうちの何名かは、国外に避難した模様だ。

プーチン大統領の元柔道仲間のアルカディ・ローテンベルグが保有するボンバルディア製のBD700ジェット機は24日にモスクワを出発し、アゼルバイジャンの首都バクーに着陸した。ローテンベルグは、推定35億ドル(約5000億円)の資産を持つ建設業界の富豪で、彼の会社は2014年のソチ冬季オリンピックや、ロシアとクリミアの被占領地域を結ぶ橋など、プーチン自慢のプロジェクトを受注していた。彼は米国、英国、EU、スイス、カナダから制裁を受けている。

ロシアで2番目の富豪で、推定237億ドルの資産を持つウラジーミル・ポターニンの会社が所有するガルフストリーム製のG650ジェット機も24日午後5時にモスクワを出発し、トルコのイスタンブールに向かった。ポターニンは非鉄金属大手ノリリスク・ニッケルの大株主として知られている。彼は、アメリカ、イギリス、カナダから制裁を受けている。

トルコもアゼルバイジャンもロシアのオリガルヒに制裁を課していないため、ロシアの混乱から逃れようとする富豪にとって、両国は魅力的な渡航先となっている。フォーブスは、ローテンベルグとポターニンの代理人にコメントを求めたが、現時点で回答は得られていない。

これらの2人の富豪の動きは、ロシアの調査報道機関IStoriesが最初に報じたものだ。プーチンがまだモスクワにいるかどうかは、本原稿の執筆時点で確認できていない。2機の大統領専用機は24日にモスクワを出発し、サンクトペテルブルク方面に向かったが、トランスポンダーの電源が切られたため、位置を追跡できなくなっている。タス通信によると、プーチン大統領の報道官は「クレムリンで仕事をしている」と述べ、大統領がモスクワを離れたことを否定した。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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